日医工 債権者会議で事業再生計画案を提示 北國銀行 富山銀行「債権の取立不能、取立遅延の恐れ」公表
公開日時 2022/11/17 04:53
日医工は11月16日、事業再生ADR手続における「第2回債権者会議」を開き、事業再生計画案を取引金融機関に対し提示した。これに対し取引金融機関の北國フィナンシャルホールディングスの連結子会社である北國銀行と富山銀行が提示された内容から「債権の取立不能又は取立遅延のおそれ」があると即日、公表。日医工は12月に第3回債権者会議を開き、事業再生計画案を決議したい考えを伝えたが、決議には全ての取引金融機関の合意が条件となるため、合意できない場合は法的整理の可能性も出てきた。
◎事業再生計画案で「債権放棄などからなる金融支援」を求める
日医工はこの日の債権者会議に、今週14日にスポンサー契約したジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)が管理・運営する合同会社ジェイ・エス・ディーとの間で作成した事業再生計画案を取引金融機関に提示した。債権者会議は非公開で行われたため、日医工が提示した事業再生計画案の詳細は明らかでないが、その後の取材で「債権放棄などからなる金融支援」が盛り込まれていたことが分かった。
◎北國銀行67億6500万円、富山銀行49億1000万円が取引不能または取引遅延の可能性
北國フィナンシャルホールディングスの連結子会社の北國銀行、富山銀行は同日、日医工の提案に対して、「債権の取立不能または取立遅延のおそれ」が生じたと表明した。北國銀行は日医工への貸出金67億6500万円(2022 年3月末の連結純資産に対する割合2.5%)が取り立て不能または遅延になる可能性があることを明らかにした。
一方、富山銀行も日医工への貸出金49億1000万円(連結純資産に対する割合15.1%)、リース債権1700万円(同0.3%)について取立不能または取立遅延のおそれが生じていることを明らかにした。
日医工の取引銀行は、北國銀行、富山銀行のほかに、北陸銀行、三井住友銀行、三井住友信託銀行、三菱UFJ銀行、日本政策投資銀行、農林中央金庫がある。事業再生ADRとは「裁判外紛争解決手続」の略称で、事業価値の著しい毀損によって再建に支障が生じないよう会社更生法や民事再生法などの法的手続によらず、債権者と債務者の合意に基づき、債務について猶予・減免等をすることにより経営困難な状況にある企業を再建することにある。
日医工は今週14日の取締役会で合同会社ジェイ・エス・ディーを割当先とする第三者割当の発行を決議し、第三者割当増資で約197億円を調達(払込金額200億円)することを決めた。この日の債権者会議に提出された事業再生計画案は、この手続きを踏まえて作成されたもの。日医工は、「全ての取引金融機関において事業再生計画案に係る手続実施者による調査結果を踏まえて、事業再生計画案の内容を検討いただくことになる」としており、12月下旬以降に開催する第3回債権者会議において事業再生計画案の決議を行いたい考えだ。
なお、日医工は第2四半期連結会計期間末(9月末)の債務超過が356億2600万円になったと公表。富山第一工場製造品の出荷再開遅れや、SterRxの生産設備見直しによる工場の稼働停止などによる営業損失は578億4400万円となった。14日の取締役会で田村友一代表取締役社長の退任(23年3月中)と東京証券取引所の上場廃止もあわせて決定している。