【World Topics】デジタルヘルスで変わる精神医療
公開日時 2018/09/18 03:50
「先端技術が適用が可能になり、精神疾患が再定義されつつある」。医療Xデザインを追究するコンファレンス Health Experience Design (HXD)のワークショップでのDr. John Torous(精神科医、ベス・イスラエル・メディカルセンター)の発言である。
https://hxd2018.sched.com/speaker/jtorous
従来は質問紙調査による「自己申告」に頼ってきた患者の行動も、携帯アプリの普及でより詳細な「実態」を析出できるようになった。遺書は電話やテキストで相談を受けつつ、患者の現在位置やそこの環境条件をGPSから捕捉できる。
Dr. Torousは服薬と幻聴幻覚発作を記録・分析して薬効を観察している統合失調症患者の実例を挙げ、患者自身による自己モニタリングに対応するため、新たな専門職すなわち医師と患者の間にあって常にデータをモニタリングしながら必要に応じて医師と患者を適切に繋ぐリエゾンを設置する必要があると提起。ソリューションの1つと期待されているのがハーバードLAMPプロジェクトである。LAMP(Learn, Access, Manage, Prevent)は特に統合失調症のために設計された情報提供・コミュニケーションのためのプラットフォームで、ベス・イスラエル・メディカルセンターに今秋開設のデジタルクリニックに導入予定だ。
Torousの結論は「新しい技術の導入にあたっては患者中心の設計となるよう配慮しなければならない。最適な答や解決法(best answers and solutions)は往々にして患者自身が持っているものだから」であった。(医療ジャーナリスト 西村由美子)