地域医療と製薬企業 貢献度1位は武田薬品 期待することは“医療者同士の連携機会” 医師調査
公開日時 2018/06/29 03:51
市場調査会社のアンテリオはこのほど、医師1万6000人に聞いた「地域医療に貢献している製薬企業ランキング」を発表し、トップは武田薬品で、回答医師の17%が同社を挙げた。2位は第一三共、3位は大塚製薬だった。地域医療に関して製薬企業に期待する取り組みの上位3つは「医療従事者に向けた勉強会の実施」「地域における他施設の動向に関する情報提供」「医師会や他施設とタイアップした研究会の実施」――。この結果から、多くの医師は、医療従事者同士の情報交換に加え、連携・ネットワーキングの機会を求めていると解釈できそうだ。
文末の関連ファイルに、地域医療に貢献している製薬企業トップ10社と、地域医療に関して製薬企業に期待することの資料を掲載しました(6月29日のみ無料公開、その後はプレミア会員限定コンテンツになります)。
調査は2018年2月に実施した。有効回答医師数は1万6012人、内訳は20床以上の病院勤務医が1万2264人、19床以下の開業医が3748人。調査方法はWebアンケート調査。
■地域医療への貢献度 トップ10社のうち8社が内資系
製薬企業51社の社名を列挙した上で、地域医療に貢献していると思う企業をチェックしてもらう形(複数回答可)で聞いたところ、トップ10は武田薬品(17.35%)、第一三共(16.28%)、大塚製薬(13.30%)、アステラス製薬(9.58%)、ファイザー(9.01%)、エーザイ(8.48%)、田辺三菱製薬(7.74%)、小野薬品(7.53%)、MSD(7.40%)、塩野義製薬(7.35%)――となった。
トップ10に内資系企業が8社ランクインしているが、この点についてアンテリオは、「国内での長い活動キャリアや生活習慣病、認知症といった国の重点疾患における医薬品開発、市民に向けた啓発活動など、実際の医療現場における具体的な取り組みが総合的に評価されたのではないか」と分析している。なお、今回の調査では企業ごとに評価理由を聞いていない。
「地域医療に関して製薬企業に期待すること」を複数回答可で聞いたところ、回答医師の39.4%が「医療従事者に向けた勉強会の実施」を求めた。そして、「地域における他施設の動向の情報提供」(34.8%)、「医師会や他施設とタイアップした研究会の実施」(34.5%)、「地域における患者の特徴に関する情報提供」(30.2%)――と続き、これら4項目が、3割以上の医師が挙げた期待する取り組みだった。
回答医師の勤務属性別に見てみると、「大学病院」では「地域における患者の特徴の情報提供」を望む割合が高い。アンテリオは、「『5疾患・5事業』や在宅医療の連携体制を構築することが地域医療では最も重要」とした上で、「大学病院では、患者それぞれの特性に基づいた情報を入手することによって、その地域とつながった診療や研究の実施を目指している」からではないかと解析している。
「大学病院以外の病院」の医師は、「他施設の動向の情報提供」のニーズが高かった。医療機能の分化が求められいることを背景に、「大学病院以外の病院では、施設の役割の見直しが急務であり、他施設の動向に関心があることがうかがえる」としている。
「医院」の医師は、「疾患領域における幅広い情報提供」を求める傾向がみられた。医院では、日常診療に加え、患者の生活指導や在宅療養・介護支援、専門医療機関への紹介など医療・保健・福祉に総合的にかかわる“かかりつけ医機能”を担う。このため、「自身の専門分野のみならず、幅広い疾患に関わる情報を製薬企業から入手することでその役割を果たそうとしている」と分析している。