GE薬協・新会長に澤井氏 変わる安定供給の局面 薬価制度改革、製造原価に危機感
公開日時 2018/05/30 03:51
日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)は5月29日、総会を開き、澤井光郎氏(沢井製薬代表取締役社長)を新会長に選任した。2018年4月実施の薬価制度改革などを踏まえ、澤井新会長は、薬価制度抜本改革や流通改善などが進む中で、「安定供給の局面が変わってきている」との見方を表明。「すべての課題が一丁目一番地で重要だ」と危機感をあらわにした。中でも、2018年4月実施の薬価制度抜本改革で、長期収載品の薬価が後発品を基準に引き下げられるG1・G2ルールが新たに組み入れられたことへの懸念を表明。日本の製造原価率が高いことも指摘し、「製造原価の低減に取り組むが、薬価制度・政策は非常に重要なのでそこもしっかりと主張をし、2020年以降も日本品質の後発品を安定供給していきたい」と述べた。
◎G1・G2ルール導入で「全くこの先を予見することができない」
澤井会長は、2018年4月実施の薬価制度改革を踏まえ、「新薬、長期収載品、後発品のいずれもがこれまでとは全く異なる環境に置かれている」との見方を示した。特に、ジェネリックメーカーにとって、G1・G2ルールの与えた影響の大きさを指摘。「後発品への置き換えが進むのか?足踏みするのか?後発品の増産体制を進めるべきなのか?現状維持でいいのか?ジェネリック業界は、全くこの先を予見することができない状況に陥っている」と強調した。
さらに、価格を引き下げてシェア拡大を図る企業が存在することで、「まじめに取り組んでいる企業の薬価が実勢価格以上に下がり、安定供給に重きを置かない企業の薬価は実勢価格よりも高くなる」と現行の薬価制度の課題を指摘。従来の薬価引き下げ幅での改定がなされれば、金額ベースではマイナス市場に転じるとの試算も示し、「マイナス成長に入る今後のジェネリック業界に大きな影響を与える」との見方を示した。
欧米では、工場閉鎖や特定の地域・国からの撤退した外資系企業があることも紹介。「医薬品を扱う業界に対して価格の引き下げ要求、価格抑制策が数年も続いてきたためだと言われている。このような状況が日本のジェネリック業界も突入することを懸念している」とけん制した。
外資系企業では製造原価率が30%後半から40%であるのに対し、国内ではこれを上回る。澤井会長は、「我々は製造業で原価が重要になる。海外よりも産業リスクは高い」と危機感を示した。さらに、「薬価が際限なく引き下がり、薬価と製造原価の差がなくなれば、いつまでもビジネスを続けられない。そういう意味で、きちんとした薬価をつくっていくことが、全体が一つにまとまる部分だ」と述べ、ビジネスモデルが多様化する中で、薬価が会員企業共通の課題との認識も示した。
会長の任期は1期2年で、最大2期まで延長できる。副会長に、角田礼昭氏(共和薬品工業代表取締役社長)、高田浩樹氏(高田製薬代表取締役社長)、吉田逸郎氏(東和薬品代表取締役社長)、田村友一氏(日医工代表取締役社長)が就いた。