米FDA ブリナツモマブの効能追加承認 前駆B細胞性ALL初の適応
公開日時 2018/04/02 03:50
米食品医薬品局(FDA)は3月29日、血液がん治療薬Blincyto(ブリナツモマブ)についてB前駆細胞性急性リンパ芽球性白血病(ALL)に対する効能追加を承認した。
同剤は、CD19 およびCD3 に二重特異性を持つT細胞誘導抗体製剤。追加された効能は、寛解に達したものの微小残存病変(MRD)を持つ成人および小児における、B前駆細胞性ALL。同剤は、FDAから優先審査、迅速審査および希少疾患の指定を受けた。同剤は、2014年7にFDAからフィラデルフィア染色体陰性の再発もしくは難治性B前駆細胞性ALLを適応として初めて迅速承認された。
初期療法で寛解を示してもMRDがある症例では、再発のリスクが高いといわれる。B前駆細胞性ALLは、骨髄が白血球の未成熟な形であるB細胞リンパ球を過剰に産生することで発症する、急速に進行する血液がんである。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のRichard Pazdur腫瘍研究拠点部長兼血液・腫瘍製品部長代理は、「本剤は、FDAが初めて承認したMRD陽性ALLに対する治療薬だ」とした。その上で、同剤が残存病変を減少させ、寛解を長期に維持する可能性について言及。現在MRDを持つ患者で同剤が長期の治療成績に影響するか評価する試験を実施中であることから、「Blincytoの治療後、MRDが減少することについての理解がさらに深まることを期待する」と述べた。
同剤を製造する米・アムジェン社のDavid M Reese上級副社長(トラスンスレーショナル・サイエンスおよび腫瘍学担当)は、「今日まで、MRDをなくす、あるいはこのハイリスクの患者集団を特異的に対象として満足すべき治療法はなかった」と述べた。その上で、「この承認は、ALL治療の連続性のなかでの初期治療としてBlincytoの使用を裏付けるばかりでなく、ALLの疾患管理のパラダイムシフトを示すものだ」と称賛した。
国立がん研究所(NCI)によると、2018年に米国で5960人がALLと診断され、1470人が乳がんで死亡すると見込まれている。