米FDA 後発医薬品に新たな承認審査制度構築へ 喘息吸入薬など“Complex Drug”に
公開日時 2017/11/10 03:50
米FDA(食品医薬品)のScott Gottlieb長官はこのほど、「複雑なジェネリック医薬品開発の障害をなくす」(Reducing the Hurdles for Complex Generic Drug Development)と題する声明を発表した。そのなかで、喘息治療用吸入剤やペプチド注射剤の一部などジェネリック医薬品(GE)が参入しにくい分野の薬剤について現在のGEの承認審査制度とは別にこれら薬剤向けの制度を構築する考えを明らかにした。
Gottlieb長官は、かねてから、米国で問題視されている薬価高騰の原因のひとつには、喘息治療用吸入剤やペプチド製剤など一部の高薬価注射剤は、GEの開発において生物学的同等性(BE)などを示す科学的なハードルの高さ、製造上の困難さおよびコスト増となるため、ブランド品(先発品)の特許満了後もGE企業がこれら薬剤の開発に取り組まず、GEが市場参入しないため、先発品との競争を阻害、高値の状態を招いていると指摘した。
Gottlieb長官は、これら薬剤をComplex Drug(CD:複雑薬)と呼んだうえで、「FDAは薬価をコントロールできないが、我々の政策は市場における競争へ影響を及ぼせる」と述べ、「このことが現在の薬価問題への取り組みの中核である」と高薬価対策を進めることへ意欲を示した。
同長官は、CDについては、現在の通常のGE承認審査制度におけるANDA(簡略新薬承認申請)を見直し、別の枠組みを構築する考えを示した。同長官は、これを「高品質ANDA」と名付けた。
FDAは、高品質ANDAでは、GE企業が、開発の困難さを乗り越えられるように、具体的に以下の2つのGE企業向けガイダンス案を策定中だ。*FDAとCDを開発しようとするGE企業との適切な開発前相談や申請事前相談などコミュニケーションを円滑にするガイダンス案。*ペプチドのようなCDのANDAを申請する場合にいつが適切な申請時期かを決定するためのガイダンス案。ペプチド製剤には多くの先発品(糖尿病薬グルカゴン、糖尿病薬リラグルチド、心不全治療薬ネシリチド、骨粗鬆症治療薬テリパラチド、短腸症候群治療薬teduglutideなど)があるが、GE開発が難しいため競争が阻害されている。同長官は、同ガイダンス以外のCDについての承認審査制度の詳細については数か月以内に明らかにするとしている。