【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

第一三共 眞鍋副社長が社長に昇格 4月1日付 企業変革に向け「部下は提案、上司は傾聴」を

公開日時 2017/02/01 03:52

第一三共は1月31日、眞鍋淳副社長(写真左)が4月1日付で社長に昇格するトップ人事を発表した。中山讓治社長は代表権のある会長兼CEOに就任する。2016年度から主要国で相次ぎARBオルメサルタンが特許切れし、この減収からの回復と利益創出、持続成長の基盤作りが経営課題となるなか、中山、眞鍋両氏が常に社内外の情報を共有し、両者一体となって意思決定した方が、より迅速かつ的確な決定ができると判断した。

中山社長はこの日に開いた記者会見で、眞鍋副社長を次期社長に選んだ決め手として、「(眞鍋副社長は)たくさんの部署を経験しているが、顕著なのは、どこでも人の意見を真摯に聞き、ホンネを引き出す力がすごくあること」を挙げた。

同社は16年3月に、25年に“がんに強みを持つ先進的グローバル創薬企業”になるとのビジョンを掲げ、この実現に向けた第4期中期経営計画(16~20年度、以下「中計」)を発表した。25年ビジョンや中計を社員に浸透させるため、中山社長や眞鍋副社長ら経営陣が昨秋に各事業所を訪問し、対話して回ったという。

中山社長は「今では皆、中計を理解している」と手応えを示した上で、「これから期待できることは、中計達成に向けたアイディアや意見が現場から出てくること」と話した。現場からの声を求めるねらいのひとつには、中計の前提条件が変わった際に現場の社員の目でいち早くその変化に気づき、会社に報告があがり、迅速に軌道修正することがある。そして、「現場の皆のホンネが出てくることが今、当社にとって特に大事なことだと思っている」と強調し、「社員の声を聴く、社員が話しやすくする、まさに眞鍋副社長の才能は中計達成に向けて最も重要なものだと思う」と今回のトップ人事のねらいやタイミングを説明した。

■“循環器”から“がん”へ、“プライマリケア”から”スペシャリティケア“へ

眞鍋副社長は旧三共に入社。第一三共の安全性研究所の初代所長を務めた後、経営戦略部長、日本カンパニープレジデント、国内外の営業管掌などを歴任し、現在、総務・人事本部長兼メディカルアフェアーズ本部長でもある。25年ビジョンや中計立案の主要メンバーのひとり。

眞鍋副社長は会見で、「25年ビジョンや中計達成に向けて全社一丸となって取り組む方針に全く変わりはない」と話した。そして、「第一三共という会社が“循環器”から“がん”へ、“プライマリケア”から“スペシャリティケア”へ大きく変革するところに今いる」との認識を示した上で、「各現場で中計達成のための具体的な案を深く議論し、その案に従った着実な実行が求められる」と述べ、中計達成には現場の意見やディスカッションが特に重要との考えを示した。

自身の経験から、モットーは「提案と傾聴」。そして、「部下は提案するために会社にいて、上司はそれを聞くためにいる」と強調し、25年ビジョンや中計達成のためにも、部下は提案し、その上司には傾聴する姿勢を求めた。「管理職にはミドルアップダウンの意識を持ってもらいたい」とも述べ、管理職には経営と現場とのギャップを埋める役割を期待していることをうかがわせた。また会見後に本誌に対し、支店長や営業所長の管理職としての資質を見極めたい意向を示した。

同社の経営課題は大きく2つあり、ひとつは16年度から主要国で相次ぎ特許切れを迎えたARBオルメサルタンの減収からの回復と利益創出、もうひとつは持続的成長基盤の確立――となる。

このため中計では事業戦略として、▽抗凝固薬エドキサバンの成長(売上収益1200億円以上)▽がん事業の立ち上げ・確立(売上収益400億円以上)▽日本市場でナンバー1カンパニーとして成長▽米国事業の拡大(疼痛領域売上収益1000億円以上など)▽SOC(スタンダードオブケア、標準治療)を変革する先進的新薬の継続的創出▽利益創出力の強化――の6つを挙げている。これらの取り組みにより、最終20年度に売上1兆1000億円、営業利益1650億円の達成を目指している。

【中山讓治(なかやま じょうじ)新会長の略歴】
1976年3月に大阪大大学院(生物工学科)修士課程修了、79年3月にノースウエスタン大学大学院(MBA)修了、79年4月にサントリーに入社。第一サントリーファーマ社長、第一製薬取締役、第一三共常務執行役員などを歴任後、2010年6月に代表取締役社長兼CEO 日本カンパニープレジデント。14年4月から現職(代表取締役社長兼CEO)。17年4月1日付で代表取締役会長兼CEOに就任予定。66歳。

【眞鍋淳(まなべ すなお)新社長の略歴】
1977年3月に東京大農学部卒、78年4月に三共に入社。第一三共の安全性研究所長、経営戦略部長、常務執行役員日本カンパニープレジデント、専務執行役員 国内外営業管掌などを歴任後、2016年6月から現職(代表取締役副社長執行役員 総務・人事本部長兼メディカルアフェアーズ本部長)。17年4月1日付で代表取締役社長兼COO社長執行役員に就任予定。62歳。

プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
関連ファイル

関連するファイルはありません。

【MixOnline】キーワードバナー
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(12)

1 2 3 4 5
悪い   良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事

一緒に読みたい関連トピックス

記事はありません。
ボタン追加
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー