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英競争市場庁 ファイザー社、Flynn社に抗てんかん薬の薬価値上げで罰金課す

公開日時 2016/12/14 03:50

英国競争市場庁(CMA、公正取引委員会に相当)は12月7日、ファイザー 社と英医薬品流通業者Flynn Pharma社に対し、抗てんかん薬Epanutin(フェニトイン)をめぐり、罰金を科したと発表した。同剤を過剰かつ不公正な価格で同製品を供給、不当にNHS(国民保健サービス)に損害を与え、競争法に違反したとの事実認定を行った。ファイザー社には、史上最高額となる8420万ポンド(121億2480万円:1ポンド=144円換算)、Flynn社に520万ポンド(7億4880万円)の罰金を課した。


CMAの発表によると、ファイザー社は、Epanutinの製品名でフェニトインをNHSに100mgカプセル剤1パックを2.83ポンドで供給していたが、2012年9月に同剤の英国における販売権をFlynn社に売却した。NHSの償還システムでは、ブランド品の場合は一定の償還価格が設定されるが、ジェネリック医薬品の場合は制限がない。このため、Flynn社は同剤を後発医薬品として販売、卸業者や小売薬局に対する価格をファイザー社が販売していた価格の23~26倍の価格に設定。NHSは100mgカプセル剤1パックについて67.50ポンド請求されたという。一方、ファイザー社はその後も同剤の製造を続行、Flynn社に7.8~16倍という価格で供給を続けた。CMAは、英国での同剤の価格は、欧州の他の国よりも高かったとしている。


患者へのリスクの観点から、代替薬への変更は推奨しておれず、NHSは同剤の採用を続けた。価格上昇により、NHSにおける同剤の薬剤費は2012年の年間200万ポンドから、13年には5000万ポンドへと急騰した。


CMA捜査部門のPhillip Marsden事案裁定班長は、「両社は、数千人という患者が頼っている薬剤の価格を上げる目的でジェネリック化の機会を意図的に利用した」と非難、さらに、「ビジネスでは本来適切と思われる価格を設定するのは自由である。しかし、支配的な地位を持つ者がこの立場を乱用し、過剰かつ不公正な価格を設定すべきでない。フェニトインカプセルが近年、イノベーションもなく、多額の投資がされたわけでもない古い薬剤にかかわらず、このような値上げをしたことを正当化できない」と批判した。


ファイザー社は12月7日、声明を発表、CMAの事実認定は間違っていると指摘、罰金の決定について不服申し立てを行うことを明らかにした。また、Flynn社も同日、同罰金の決定を遺憾に思うとしたうえで、不服申し立ての意向を示した。


英国製薬工業協会(ABPI)は、12月7日、この問題について、「ABPIは繰り返して、いかなる方法であっても後発医薬品の値上げについて支持しないし、許しもしないと述べてきた。この立場が変わることはない」との見解を示した。さらに、「我々は個別企業の問題や不服申し立てについてはコメントできない。今後行われる法的手続きによって、複雑な本事案を考慮することが適切である」との考えを示した。


米国では、Turing Phramaによる意図的な薬価値上げやマイラン社による、アナフィラキシー反応補助治療薬・エピペンの値上げなど医薬品の値上げが社会問題化するケースが後を絶たないことが知られている。

 

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