米FDA 初のコレラ予防ワクチンVaxchoraを承認
公開日時 2016/06/15 03:50
米食品医薬品局(FDA)は6月10日、血清型O1コレラ菌によるコレラ流行地域への旅行者向け(18~64歳の成人)コレラ予防ワクチンVaxchoraを承認した。同剤はFDAが初めて承認したコレラ予防ワクチンとなる。
同剤は、弱毒化生ワクチンの経口液剤で、少なくとも旅行開始10日前に服用する。FDAは同剤に対して迅速審査の対象とするとともに当該製薬企業のPaxVax Bermuda Ltd社(本社:バーミューダ、ハミルトン市)に対して「2007年FDA修正法」に基づく熱帯病優先審査のバウチャーを発行した。同バウチャーは、一定の熱帯病の予防・治療を目的とした新医薬品や生物製剤の開発を促進するために設けられた。
FDAのPeter Marks生物製剤評価研究センター長は、「Vaxchoraの承認は、コレラ流行地域を訪れる旅行者にCDC(疾病管理予防センター)が推奨しているコレラ予防法における新たな選択肢となる」と歓迎した。
米PaxVax社(PaxVax Bermudaの親会社、本社:カリフォルニア州レッドウッドシティ)のNima Farzon CEO兼社長は、「Vaxchoraの承認は、PaxVax社にとって重要なマイルストーンである。我々は、米国で入手できる唯一のコレラワクチンを供給できることを誇りに思う」と話した。
コレラはコレラ菌によって引き起こされ、同菌に汚染された水や食物を摂取することで、軽度から重症の水様性下痢を起こす。重症では、重篤な下痢や嘔吐、脱水が特徴である。抗生物質や水分補給を直ちに行わないと生命に危険が及ぶ。世界保健機関(WHO)によると、血清型O1がコレラの世界的に主病因となっているという。
米国ではコレラの発生はまれであるが、旅行者が十分な上下水道の整備されていない地域や不衛生な地域を訪れる際には、そのリスクに晒されるためにワクチンが必要となる。