米FDA 肺炭疽治療薬Anthimを承認
公開日時 2016/03/25 03:50
米食品医薬品局(FDA)は3月21日、肺炭疽治療薬Anthlim注射剤(obiltoxaximab)を他の適切な抗菌剤との併用で承認した。また、同剤について、適切な代替療法が使用できない場合あるいは適切でない場合の肺炭疽の予防の適応も承認した。
肺炭疽は、炭疽菌に感染した動物や同動物由来の製品への暴露(接触)もしくは故意に散布された炭疽菌の吸入によって引き起こされる。炭疽菌はバイオテロに使用されやすく、2001年に炭疽菌によるバイオテロの経験を持つ米国では重要な薬剤と位置付けられている。
同剤は、炭疽菌が産生する毒性を中和するモノクローナル抗体。ヒトでの臨床試験が不可能な場合や倫理上実施できない場合に動物試験の有効性に関するデータのみで承認を可能とするFDA動物規則(FDA's Animal Rule) に基づいて承認された。安全性については、320例の健常人を対象に評価された。主な副作用は、頭痛、掻痒、上気道感染、咳、鼻閉、注射部位の腫脹および疼痛など。
ラベルには、患者および医療関係者向け枠組み警告として、同剤による、重篤なアナフィラキシーを含むアレルギー反応を引き起こす可能性について記載された。そのため、同剤は、投与後患者のモニターが可能で、アナフィラキシー対して十分な治療が可能な医療機関に限定されている。
同剤について、米Elusys Therapeutics(本社:ニュージャージー州パインブルック)が米保健福祉省(HHS)のバイオメディカル先端研究開発局(Biomedical Advanced Research and Development Authority)と共同で開発した。Elusys Therapeuticsは、感染症に対する抗体医薬に注力している。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のEdward Cox抗菌製品部長は、「いかなるバイオテロリズムに対しても準備の要として炭疽治療薬の開発が継続されていることを目の当たりにしてうれしく思う」と同剤の登場を歓迎した。