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ノバルティス・コッシャ社長 MR評価 売上成績の比重を4割に下げる 行動も重視

公開日時 2015/06/26 03:52

ノバルティス ファーマのダーク・コッシャ社長は6月19日、東京本社で本誌インタビューに応じ、現在のMR評価項目のウェイトについて、個人の売上成績が占める割合を4割にしていることを明らかにした。これまでは個人の売上成績が7割(2014年上期・プライマリケア領域)だったが、これからは個人の業績だけではなくチームへの貢献や行動も重視する。医師などの関係者から、「信頼されるパートナー」として再び認知されるようにしたい考えだ。

インタビュー全文(一問一答形式)は後日、ミクスOnlineプレミア会員向けに配信します。Monthlyミクス8月号にも掲載します。

医師主導臨床研究のデータ改ざん問題や、医師主導臨床研究へのMRの不適切な関与及び副作用報告遅延問題が相次ぎ発覚したことを受け、コッシャ氏が14年4月に日本法人社長に就任した。コッシャ社長の最大のミッションは再発防止と信頼回復にある。

■社員が率直に意見言える会社に

コッシャ社長が就任後に多くの社員と話したところ、「彼らは会社の問題を認識していた」とし、「話した社員全員が、顧客から『信頼されるパートナー』になるために、正しいことをしなければならないと非常に強く望んでいた」という。この対話などから、全社員が自らの考えや疑問を率直に話すことのできる企業文化・風土への変革が、再発防止・信頼回復に向けて特に重要と判断。社員と経営陣との継続的な直接対話や、全社員が経営陣に匿名メールで直接質問・提案できる「Q&Aシステム」の導入などに取り組んできたと説明した。

会社として行動重視の姿勢を徹底するため、人事評価も見直した。コッシャ社長によると、15年のMR評価項目のウェイトを、従来の個人の売上成績重視の評価体系だったものから、▽個人の売上成績が4割▽コンプライアンス関係が2割▽チーム目標への貢献が2割▽その他が2割――に変更した。「その他」では、例えばアポイントを取って実施したディテーリングや計画されたアクションを実行したかどうかなどが反映される。

コッシャ社長は、「これまでの評価体系に問題があったとは思わないが、コンプライアンスを含めたバランスのとれた評価体系を持つことが、いまの難局を乗り越える意味で正しい方向だ」と述べた。なお、海外のノバルティスでもMR評価における売上成績の割合は4割程度という。

■MRに売上目標は必要 モチベーション維持・向上のためにも

また、同社では14年下半期にMRの人事評価から売上目標を外したが、この点については、「当時は非常に重要な時期であり、なにより優先すべきことは顧客からの信頼回復であるという一貫したメッセージを社員全員に伝えるためだった」と述懐した。

15年にMRの売上目標を復活させたことの意義やねらいに関しては、自らのMR経験も踏まえて、「どのような人間でも目標達成したことを周りの人に気付いてもらいたい、(会社に)貢献したと認識してもらいたいと思っており、個人目標は重要だ」と述べ、MRのモチベーションの維持・向上のためにも必要との考え。ただ、「(売上成績と行動の)バランスのとれたMR活動が重要」とも重ねて強調し、透明性の高い社内コミュニケーションを構築することで、社員ごとに異なる可能性がある「バランス」の解釈を軌道修正していく姿勢も見せた。

■契約型医師主導臨床研究 医師からのリクエストで実施

同社では今後、現在100人体制のメディカル・サイエンス・リエゾン(以下、MSL)を拡充していく方針を明らかにしている。MRとMSLとの違いについてコッシャ社長は、添付文書の範囲内の情報提供活動はMR、この範囲を超える医学的な質問にはMSLが対応すると説明した。さらに、「MSLがプロモーションを行うことはあり得ない。このようなことをしてしまったら一線を越える」と述べ、MSLは製品プロモーションと疑われるような行動はしないと強調した。

情報の受け取り側である医師などの医療従事者が、メーカー発想のMSLとMRの違いを認識できるかどうか、つまり、MSLの行動もプロモーション活動の一環と捉えられかねないとの指摘があることについては、「どのようにこの違いが理解されていくのか、ということを私たちは理解しながら展開していかないといけない。最善の努力をしていく」と述べるにとどめた。

医師主導臨床研究に同社が関与する場合は今後、契約を締結する。コッシャ社長は、「契約型医師主導臨床研究については医師からの提案により実施される」と述べ、契約型医師主導臨床研究は医師からのリクエストが前提になるとの考えを示した。

そして、「契約型医師主導臨床研究で生成されるデータは、何らかの商業的な思惑によって影響を受けてはならない。だからこそ、いかなる商業的な関与をも排除するプロセスに変えた。MRは関与せず、MSLの業務範囲にした」と改めて説明した。

■地域包括ケアで「地域に強いコーディネーター」を検討中

そのほか、今後の日本の高齢者人口の増加に伴い、厚労省は、医療や介護を地域で一体となって提供する「地域包括ケア」の構築に取り組んでいる。製薬各社では地域包括ケア時代の情報提供活動の在り方を検討中で、ノバルティスも「検討しており、最終的な戦略はこれから確定する」(コッシャ社長)。現時点では、地域の医療関係者や介護関係者、地域包括支援センターなどとの窓口になれる「地域に強いコーディネーター的な役割を担える社員」を配置してMRと協働する方向で検討しており、コーディネーターには、たとえば「地域版のキー・アカウント・マネジャー」を想定しているという。

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