米食品医薬品局（FDA）は、2016年度予算（2015年10月－2016年9月）では、対前年比9%増の49億ドルを要求し、FDA食品安全法（FDA Food Safety Modernization Act）で求められた施策の実施と医薬品の品質および安全確保策などに重点的に割り当てる。

FDAのMargaret A Hamburg長官は、「本予算案は、ますます複雑化し、科学的要求も増加している国際的な規制環境においてFDAが直面する課題を正確に反映したものになっている」と指摘したうえで、「FDAの使命が、タバコ規制から個別化医療の開発や食品安全確保の新時代を開拓するなど広範囲にわたってきているので、我々は、イノベーションを育み、米国人にもっとも安全な医薬品と食品を確実に提供する近代的機関を運営するリソースを持たなければならない」とリソースが確保できる予算の必要性を示唆した。

49億ドルのうち、1億4770万ドルが、＊脅威が増大している抗生物質耐性菌対策、＊個別化医療のための信頼性の高い分子診断法や遺伝子診断法ならびに治療法の開発促進、＊医薬品・医療機器審査の改善を目的としたFDA安全およびイノベーション法（FDA Safety and Innovation Act）で求められた施策の実施、＊FDASIAで求められた医薬品・医療機器審査および査察を改善するための諸施策、＊配合薬の安全性確保策、＊FDA業務充実のために試験室および事務室の近代化‐などに充当される。

このほか、FDAは、業務の充実・改善のためには、科学者、医師、分析家、査察官などの人員の増員が不可欠としており、2016年度は2008年度比70%増が必要と位置づけ、その予算も求めている。さらに、FDAが所在するホワイトオークの敷地のマスタープランも見直し計画を発表、賃料の支払い予算も求めた。