厚労省の薬食審医薬品第二部会は6月26日、新薬など6製品の承認の可否を審議し、全ての承認を了承した。この中には、インターフェロンを要さず経口薬の併用で高率にウイルスを除去できるC型肝炎治療薬もある。いずれの製品についても27日に開催される薬事分科会(部会の上部組織)への報告を同省は検討している。報告されれば早期の正式承認も考えられるが、承認時期について同省医薬食品局審査管理課の担当官は「今の段階ではっきりしたことは言えない」としている。
承認が了承された品目は次のとおり。
【審議品目】 (カッコ内は成分名と申請会社名)
▽ダクルインザ錠60mg(ダクラタスビル塩酸塩、ブリストル・マイヤーズ):「セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるインターフェロンを含む治療法に不適格の未治療あるいは不耐容の患者またはインターフェロンを含む治療法で無効となった患者のウイルス血症の改善」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。海外未承認。
C型肝炎ウイルスが増殖する際に必要な蛋白質であるHCV NS5A複製複合体を阻害する。同様の作用を有する既存薬はない。1日1回24週間経口投与する。
▽スンベプラカプセル100mg(アスナプレビル、ブリストル・マイヤーズ):「セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるインターフェロンを含む治療法に不適格の未治療あるいは不耐容の患者またはインターフェロンを含む治療法で無効となった患者のウイルス血症の改善」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。海外未承認。
C型肝炎ウイルスが増殖する際に必要な蛋白質であるHCV NS3/4Aセリンプロテアーゼを阻害する。1日2回24週間経口投与する。
ダクルインザ錠とスンベプラカプセルは併用して用いる。C型肝炎治療で初のインターフェロンの併用を要さない治療法となる。C型肝炎ウイルス感染患者数は、潜在患者も含めて推定150~200万人。約7割がジェノタイプ1型に該当するとされる。
▽オプジーボ点滴静注20mg、同100mg(ニボルマブ遺伝子組換え、小野薬品):「根治切除不能な悪性黒色腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。海外未承認。
T細胞などの表面に発現し、免疫反応を負に制御する受容体PD-1の働きを阻害する抗PD-1抗体。がん細胞を排除する免疫反応を活性化する新規作用の抗がん剤。海外ではブリストル・マイヤーズが開発している。悪性黒色腫の国内推定患者数は約5000人。悪性黒色腫の適応を有する薬剤にはダカルバジンがあるが奏効率が低く、予後の改善が確認された薬物療法はなかった。
▽スクエアキッズ皮下注シリンジ〔沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ(ソークワクチン)混合ワクチン、北里第一三共ワクチン〕:「百日せき、ジフテリア、破傷風および急性灰白髄炎の予防」を効能・効果とする新医療用配合剤。再審査期間6年。海外での開発はない。
2003年承認の沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン(北里第一三共ワクチン)と2012年承認の不活化ポリオワクチン(サノフィ)の原薬を用いた4種混合ワクチン。類薬にテトラビックシリンジ(田辺三菱)がある。
▽オルプロリクス静注用250、同500、同1000、同2000、同3000(エフトレノナコグ アルファ遺伝子組換え、バイオジェン・アイデック・ジャパン):「血液凝固第9因子欠乏患者における出血傾向の抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。海外では米国とカナダで承認済み。
▽献血グロベニン-I静注用500mg、同2500mg、同5000mg(乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン、日本製薬):「スティーブンス・ジョンソン症候群および中毒性表皮壊死症(ステロイド剤の効果不十分な場合)」の効能・効果を追加する新効能医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。
スティーブンス・ジョンソン症候群は、薬剤の重い副作用として知られ、発症原因はよくわかっていないが免疫・アレルギー反応によるものと考えられている。38度以上の高熱を伴って発疹・発赤、やけどのような水ぶくれなどの激しい症状が、比較的短期間に全身の皮膚、口、目の粘膜に現れる。これが進行し、表皮の融解壊死を特徴とする中毒性表皮壊死症になることもある。第一選択薬はステロイドの全身投与だが、効果不十分な場合として人免疫グロブリンの使用が考慮される。
なお、6月は医薬品部会を開催する月ではなく、今回は臨時で開かれた。担当官は、第二部会の品目数が多くなり、審議品目の均等化のためだと説明している。