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国立がん研究センター 小児の難治性神経芽腫の免疫療法 治験に東北大、九大も参加

公開日時 2014/04/04 03:50

 国立がん研究センター(以下、国がん)はこのほど、小児がんの難治性神経芽腫の再発抑制を目的にした「抗GD2抗体免疫療法」の医師主導治験の実施施設を増やすと明かした。現在の実施施設の国がん、大阪市立総合医療センターに加え、今夏にも東北大学や九州大学でも開始する予定。14年前半に投与量や治療方法を確定させ、実施施設を増やしたうえで、オーファンドラッグとしての承認申請を目指す。抗GD2抗体免疫療法は化学療法や放射線治療終了後に行う。10年の米国での報告によると、2年間で20%の再発抑制が確認されている。

 

神経芽腫は小児の固形がんとしては脳腫瘍に次いで多い。患者の半数がハイリスクに分類され、ハイリスク例は年間100~120人に上る。5年以上の長期生存は3~4割にとどまる。海外では再発抑制の標準薬としてビタミンA類似薬があるが、日本では15年にわたりドラッグ・ラグの状態が続いているとされる。

 

抗GD2抗体免疫療法は、神経芽腫細胞表面のGD2という糖脂質に働きかける抗体(ch14.18)を、免疫機能を高める他の薬剤と併用。異なる2種類の免疫活性化薬を交互に用い、5回の治療を繰り返す。ただ、今回の治験では、両剤とも日本の承認薬ではないことから、国内で使用できる別の薬剤を用い、米国の抗GD2抗体免疫療法を再現する形で承認取得を目指す。

 

同免疫療法は、欧州では13年12月に承認申請され、米国では14年前半に承認申請される見込み。日本では13年10月より国がんなどで医師主導治験が開始された。欧米での承認前に日本で治験が開始されるのは小児がんでは初めてという。

 

国がんは、今回のような複数の薬剤を組み合わせた早期探索的な治験について、企業との交渉、PMDAとの相談、治験実施を支援する組織の存在、フェーズ1が実施できる診療体制などが必要になるため、「通常のがん専門病院でも非常に困難。早期・探索的臨床試験拠点だからこそ可能となった」とし、「海外とのドラッグ・ラグを生むことなく日本で使える仕組みづくりも視野に、今後も牽引的役割を果たしていきたい」とコメントしている。

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