暗雲漂う抗生物質の研究開発
公開日時 2009/03/31 00:00
深まる抗生物質離れ人類の歴史は病原菌との闘いの連続であると言っても過言ではない。抗生物質の発見・普及に伴って、かつて怖い病とされた肺炎や結核なども今では完治できる時代になった。その反面、世界各地でいまだ細菌感染による罹病率は衰える気配はなく、米国では死因の第4位にランクインしているほど深刻な社会問題となっている(表1)。この事実を真剣に受け止めれば、感染症領域における医療ニーズが必ずしも充足されているとは言えない。都市化の進展に伴う人口過密や多剤耐性菌の急増により新薬の研究開発が追いつかなくなることが背景にあると考えられるが、もっとも製薬各社による抗生物質離れが事態の深刻さに拍車をかけている面もある。抗生物質パイプラインの品薄は別の側面からも見て取れる。FDAによる抗生物質の承認数は83-8...