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アステラス製薬 コマーシャル部門とメディカル部門が協働で「One Astellas」を実現 自律的組織へ舵

公開日時 2024/07/24 04:51
アステラス製薬は7月23日、多様化する医療者のニーズに対応するため、コマーシャル部門とメディカル部門の「協働」による「One Astellas」アプローチを行う方針を明らかにした。河野順ジャパンコマーシャルヘッド(写真上)と、藤田修平メディカルアフェアーズジャパンヘッド(写真下)が同日のメディアグループインタビューで、マーケットアクセスの新たな変革ビジョンとして示したもの。両部門の「独立性」と役割・機能を担保した上で、複数のチャネルを活用して顧客とのコミュニケーションを図ることで製品のブランド価値向上を実現する。このため現場のMRが知り得た医療者のニーズを直接MSLと共有できるなど、部門間・職種間の「壁」を超えて、当事者が自ら判断し、自律的に行動できる組織の構築と人材育成を目指すとした。

同社は今年4月に日本のコマーシャル組織体制を刷新した。オンコロジーセールス(イクスタンジ、パドセブ、ベタニス、ビロイ、ゾスパタ、ビーリンサイト)と、スペシャリティケアセールス(シムジア、スマイラフ、イベニティ、ベタニス、スーグラ、スージャヌ配合錠)に分け、さらにカスタマーエンゲージメントの強化としてオムニチャネル戦略に注力している。

同社が営業モデルを変革させる背景には、自社のポートフォリオの変化と、次期主力品に据える抗悪性腫瘍薬やバイオ製剤などに伴い医師側が求める情報ニーズの変化という要素が大きい。特に、同社の注力領域は、専門医が中心で個別化医療が求められるなど、医療者側の情報ニーズが日々刻々と変化し、そのニーズに的確かつ迅速に応えることが製薬企業に求められているためだ。もちろん医療者への情報提供については、「販売情報提供活動ガイドラン」に則って行うことを前提としている。

◎「5Rコミュニケーション」 オムニチャネル活動を通じてカスタマーエンゲージメントを向上

このため同社では、「5Rコミュニケーション」(“最適な”顧客、タイミング、メッセージ、チャネル、頻度)を定め、MRが医療者とのコミュニケーションの中心となり、オムニチャネル活動を通じて顧客との信頼関係(カスタマーエンゲージメント)を向上させる施策を導入した。4月からAI(人工知能)の活用もスタートさせた。顧客ごとに個別化されたレコメンドを示し、MR自身が訪問計画や行動計画を最適化し、生産性向上を実現する環境も整えた。

◎河野コマーシャルヘッド 顧客をちゃんと理解してベストなソリューションでアプローチ

こうした環境変化について河野コマーシャルヘッドは、「プライマリ製品が比較的多かった時代はMRを大量導入してディテール数で勝つモデルが中心だった。企業風土も本社の指示を現場が実行する上意下達モデルを非常に得意としていた」と振り返る。一方で、近年は、「専門性の高いポートフォリオに変わり、患者さんの疾患の背景や医療者ごとの専門性の違いなど、顧客1人1人のニーズをちゃんと理解した上でベストなソリューションやベストなチャネルを含めてアプローチを考える必要性が強まってきた」と強調。顧客である医師のことを一番考えているのが現場MRであるならば、「自律的に顧客のニーズを理解してもらって、可能なソリューションを医師ごとに個別提案できる自律的な社内組織の構築と人材育成が出来ればよいと考えている」と述べ、変革ビジョンに込めた意義を語ってくれた。

◎藤田メディカルアフェアーズヘッド 一つひとつの壁を壊すことがビジネス変革に

一方、藤田メディカルアフェアーズヘッドは、「過去は、現場のMRの方々がアンテナを張って、医師のニーズを見つけてきても、それに(メディカル側が)対応できないということが確かにあった」と振り返りながら、「我々は、営業との連携というカスタマー・フェイシングを一緒にやっているという意識を社内に根づかせたい。それによってMSLも我々の製品のブランド価値を顧客に届ける活動を行っているという意識を持つことで、現場でのコミュニケーションがよりスムーズになる」と語る。続けて、「“部門を超える”って言うのは簡単だけど、確かにゴールを変えて、トップがメッセージを出して、一つ一つの壁を壊していくというのが、いわゆるビジネスモデルの大きな変革点になると考えている」と述べた。

◎オンラインMR 事前準備に時間をかけていることが高評価に

このほかに同社のMR活動の中で「オンラインMR」の役割が増していることが紹介された。河野ヘッドは、同社のオンラインMRの外部評価(MCIデータ)でトップランキングを維持していることに触れ、「通常のMRとオンラインMRを比べると、やはり事前準備に使う時間が違う」と述べ、特に、「アポイントを頂いている医師に関して、担当MRと事前に何度もやり取りをして、オンライン面談の内容を相当作り込んでいる」と強調。高ランキングを維持している理由にあげた。
 
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