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24年度診療報酬改定 看護職、病院薬剤師の賃上げで「ベースアップ評価料」新設へ 計画と報告も要件に

公開日時 2024/02/01 04:48
厚労省は1月31日の中医協総会に、2024年度診療報酬改定で看護職員、病院薬剤師などの賃上げに向けて、「ベースアップ評価料」を新設することを提案した。評価料を算定する場合は、原則として基本給の引上げ等で賃上げを行うことを求める。賃金改善状況の計画と報告も要件とした。支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「政府の方針に基づいて、評価料の全額を対象職員の賃上げに充当することや、その実態を医療機関ごとに検証することを前提として事務局案を了承したい」と述べた。

24年度診療報酬改定では、改定率0.88%のうち、「看護職員、病院薬剤師やその他の医療関係職種について、24年度にベア+2.5%、25年度にベア+2.0%を実施していくための特例的な対応」として+0.61%が措置することが合意されていた。

勤務する看護職員、薬剤師の賃金改善を実施している医療機関への評価として、外来または在宅医療を実施している医療機関では「外来・在宅ベースアップ評価料」、病院または有床診療所では「入院ベースアップ評価料」を算定できる。訪問看護ステーションでは「訪問看護ベースアップ評価料」、歯科では「歯科外来 ・在宅 ベースアップ評価料」を算定できる。

外来・在宅ベースアップ評価料は、初診時、再診時、訪問診療時で算定でき、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)で目安とされる“1.2%”の賃上げができない場合は、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)の算定が可能になる。

◎基本給などの引上げによる改善が原則 

施設基準としては、同評価料を算定する場合は、24年度および25年度において「対象職員の賃金(役員報酬を除く)の改善(定期昇給によるもの除く)を実施しなければならない」とした。ただし、25年度に賃金改善を繰り越すことも認めた。賃上げについては、基本給、手当、賞与等のうち対象とする賃金項目を特定した上で行い、基本給または決まって毎月支払われる手当の引上げにより改善を図ることを原則とした。対象職員の基本給等を23年度と比べて一定水準以上引き上げた場合は、40歳未満の勤務医(歯科医師含む)や事務職員等の賃金改善を行うことができる。

24、25年度において勤務職員の賃金改善についての計画を作成し、計画に基づく職員の賃金改善の状況について、定期的に地方厚生局長等に報告することも求める。

◎支払側・松本委員「透明性高い仕組みに」 診療側・長島委員「計画書などはシンプルに」

支払側の松本委員は、「評価料については、主として保険診療等から収入を得ていることを条件とすることは妥当だと考える。今後施行に向け、通知や事務連絡で詳細なルールを定めることになるが、賃上げの方法、実態把握の運用についてまだ不明な部分がある。透明性の高い仕組みにするとともに、特に外来においては患者負担が増加するので、丁寧な周知をお願いしたい」と述べた。

支払側の鳥潟美夏子委員(全国健康保険協会理事)は、「基本料に溶け込ませるのではなく、加算として別途評価することにより、各医療機関などにおける賃上げの実態をしっかりと把握できるのではないか。実態把握と効果検証を綿密に行えるよう、また現場の医療従事者の方々の確実な待遇改善につながるようにしていただきたい」と述べ、効果検証の必要性を強調した。

支払側の佐保昌一委員(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)は、「医療従事者の離職防止、人材確保のためにも各医療機関の労使でしっかり話し合って決めていただきたい。今後運用の中で、通知などにその旨記載していただくことをお願いしたい」と述べた。

診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、「これまでの議論を踏まえたものであり、議論はない」としたうえで、「算定にあたって提出が求められる計画書や届け出様式は、可能な限りわかりやすくシンプルなものとして、賃上げに必要な財源が、確実に医療機関に届くようにしていただく必要があると考える。また、実際の運用に際しては、実務的な様々な疑問、例えば法定福利費、定期昇給、補助金の扱い、各医療機関における配分方法などが生じると予想される。6月の施行に向けて、国としても丁寧な説明と周知をしていただく必要がある」と述べた。




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