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アレクシオン従業員 「公益通報巡り仕事外しは不当」 同社に損害賠償請求提訴 高松地裁

公開日時 2024/01/17 04:52
アレクシオンファーマの不適切なプロモーションを巡って、公益通報した後に仕事外しなどの不当な扱いを受けたとして、同社の従業員が1月16日、同社に対して300万円の損害賠償を求めて高松地裁に提訴した。同日、会見した原告は「公益通報をしたために仕事やキャリアを失った。裁判で勝っても元の仕事に戻れるわけではないが、今後通報者が不利益にならないよう、制度のあり方を見直すべきだ」と訴えた。

訴状などによると、原告は2013年3月、同社にMR(同社ではMCCと呼称)として入社。非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)などを適応とする同社のソリリスについて不適切なプロモーション活動が行われているとして、アレクシオンファーマ本社や米国親会社に内部通報したが是正されず、17年2月からは厚生労働省への公益通報も行った。その後、厚労省の行政指導や添付文書改訂が行われた直後の19年2月、原告はMR職を外され、20年8月以降は1人だけの部署に配置されてほとんど仕事がない状況に置かれたとされる。

原告は会見で「患者さんの役に立てるよう医師や薬剤師に情報提供するMRの仕事が好きで定年まで続けたいと考えていた。MRとしての倫理観から、患者の生命にかかわる不適切な行為が許せなかった。行政指導などによって不適切行為は止めることができたが、それと引き換えにキャリアを失うことになった」と語った。

アレクシオン側は今回の損害賠償請求に関して本誌の取材に回答していない。

ソリリスを巡っては、アレクシオンファーマが適応外である二次性TMAも適応かのように誤認するプロモーション資材を情報提供に活用していた。厚労省は18年10月にアレクシオンファーマに対して文書による行政指導を実施。プロモーション資材に学会が作成する診療ガイドとは異なる情報が含まれ、「投与対象であるaHUSに二次性TMAが含まれているとの誤解を生じる可能性がある」と指摘し、資材の回収や是正を求めた。19年2月には添付文書を改訂し、「二次性血栓性微小血管症の患者に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない(使用経験がない)」と明記した。本誌関連記事はこちら()

◎原告代理人「公益通報制度のあり方も争点」

原告や代理人は公益通報の制度そのものへの疑問も投げかける。代理人を務める安原幸彦弁護士=東京南部法律事務所=は「内部通報や公益通報の制度が社内の不満分子をあぶりだす制度になってしまっている」と主張する。原告の従業員は、同社を相手取り公益通報を理由とした配置転換の取り消しを求めて提訴したが、東京地裁判決は22年2月、請求を棄却して従業員の敗訴が確定している。安原弁護士は「原告側に公益通報と配置転換の因果関係の立証を求めるのは問題がある」とした上で、「公益通報制度は本来、企業の利益につながるための制度。公益通報者保護法があるにもかかわらず、結果的に通報者に不利益があるのはおかしい」と不備を指摘した。

また、内部通報の調査を行う第三者機関であるはずの法律事務所が、裁判では会社側の代理人を兼任しているなど、通報者保護の企業意識が形骸化していると疑問を投げかけた。
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