武田薬品 グローバル本社のフロア刷新 チーム運営含め「新しい働き方」追求
公開日時 2024/01/12 04:50
武田薬品のグローバル本社(東京・日本橋)が大幅にリノベーションされ、「新たな働き方」を推し進める拠点として生まれ変わった。共有フロアには仕切りの少ないオープンスペースが充実し、マネジメント面でもチームマネジャーを中核にチームにとって最善な働き方を追求。デジタルやテクノロジーも活用して、より良い職場環境やイノベーション創出の場を目指している。
◎チームマネジャー中心に多様な働き方を実現
約1200人が働くグローバル本社のリノベーションは約1年半をかけて2023年10月に完成。23年12月に報道陣に公開した。部署や部門にかかわらず利用できる共有フロアは壁が少なく、カフェやレストランのように開かれた空間が広がる。リノベーションによって部門ごとの固定席はなくなり、フリーアドレスになった。どんなタイミングでチームが集まり、議論するのが効果的か―。フロア刷新によって新たな環境となり、日々の働き方もチームマネジャーを中心に決める形が広がり、多様な働き方につながっている。
同社コーポレート・ストラテジーの水野直道氏は「対面を重視しつつ、フレキシブルで多様な働き方ができる環境が整った。新たなイノベーションのために、チームマネジャーを核にこれからも検証しながら『新しい働き方』を進化させていきたい」としている。
◎開かれたラーニングセンター、伝統建築を取り入れた「Engawa Hiroma」
ラーニングセンターは仕切りがないコミュニティスペースが広がり、取り囲むように、それぞれコンセプトの異なる会議室がある。会議や学習の場など、それぞれの人数や用途に合わせて活用できる。
別の階の共有フロア「Engawa Hiroma」は、ワンフロア全体に日本の伝統的な建築様式を取り入れた。小上がりや欄間が設けられ、植栽は同社京都薬用植物園のツバキやコーヒーの木などを配置。「武田薬品が育んできた歴史や文化も感じられる場所」を目指したという。
デジタルとテクノロジーをテーマにしたフロアでは、スマートフォンやタブレット端末が並ぶ「Tech Bar」やプレゼンテーション設備が充実。カフェスペースや卓球台、靴を脱いで上がる座敷もあり、仕事の息抜きにもつながる造りになっている。
各フロアでは、パソコンだけを持って気軽に利用できるようにモバイルバッテリーを各所に準備したり、オープンスペースだけではなく個人利用ができる小ブースを設けたりと随所に従業員の意見を反映させた。
◎コロナ禍経て、従業員の声を基にコンセプト作成
武田薬品のグローバル本社は2018年3月に竣工。コロナ禍もあり、リモートワークなどハイブリッドな働き方が浸透する中、部門を横断したグローバルチームが未来の職場環境のあり方を議論。従業員の意見を基に▽従業員のウェルビーイング、DE&I(多様性・公平性・包括性)、生涯学習を優先事項とする▽データ、デジタル、テクノロジーを活用し、よりよい職場体験を生み出せる職場を構築する▽コミュニティスペースの創出により習慣的な対面の交流を促進する―などのコアとなるコンセプトを定めた。今後、米・ケンブリッジやスイス・チューリッヒの拠点も刷新を進めていくとしている。