塩野義製薬 新規抗菌薬・フェトロージャを発売 薬剤感受性検査用試薬は22日発売予定
公開日時 2023/12/21 04:48
塩野義製薬は12月20日、新規のシデロフォアセファロスポリン系抗菌薬・フェトロージャ点滴静注用1g(注射用セフィデロコルトシル酸塩硫酸塩水和物)を発売した。また、フェトロージャの感受性を測定するための検査用試薬を22日に発売する予定。同社は、「フェトロージャの発売と同時に薬剤感受性検査が実施できる体制が整うことで、本薬が、薬剤耐性菌による感染症で苦しむ適切な患者に対する新たな治療選択肢となることが期待される」としている。
フェトロージャは国内唯一のシデロフォアセファロスポリン系抗菌薬。多剤耐性菌を含むグラム陰性菌の外膜を効果的に通過して抗菌活性を発揮する。鉄と結合する独自の構造を有することにより、細菌が養分である鉄を取り込むために利用する鉄トランスポーターを介し、細菌内に能動的に運ばれる。その結果、有効成分のセフィデロコルは細菌のペリプラズム内に取り込まれ、細胞壁合成を阻害する。
塩野義製薬は抗菌薬適正使用推進の一環として、フェトロージャ発売後からすみやかに同剤に対する細菌の感受性検査を行えるよう薬剤感受性試験用試薬の開発と提供に向けた取り組みも進めていた。
フェトロージャは厚労省の抗菌薬確保支援事業に初めて採択されたもの。同事業は、AMR対策の一環として23年度から新たに試行導入されたもので、抗菌薬の販売を手がける製薬企業の収益の一定額を保証する制度のこと。企業が国の薬剤耐性対策(販売量の適正水準維持)に協力することで生じる減収に対して一定額を国が支援すると同時に、抗菌薬の開発を促す仕組みを作ることで、薬剤耐性対策を推進することを目的としている。
フェトロージャは22年3月に承認申請された。そして今年11月27日の薬食審・医薬品第二部会を通過し、そのわずか3日後の11月30日に承認され、AMRに対する抗菌薬として12月20日に緊急収載された。