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新薬9製品承認へ アイリーア高濃度製剤、新規PNH治療薬・ボイデヤ錠など 薬食審部会が了承

公開日時 2023/12/11 04:51
厚生労働省の薬食審・医薬品第一部会は12月8日、バイエル薬品の眼科用VEGF阻害薬・アイリーアの高濃度製剤など新薬9製品を承認することを了承した。アイリーアの高濃度製剤は中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性(nAMD)及び糖尿病黄斑浮腫(DME)に対し、維持期の投与間隔が4か月ごとに1回となるもの。既存製剤は2か月ごとに1回のため、高濃度製剤は投与間隔の延長と年間の投与回数の減少につながる。なお、高濃度製剤は、22年5月に新規参入した中外製薬のバビースモと維持期の投与間隔が横並びとなる。

このほか承認が了承された新有効成分含有医薬品として、アレクシオンファーマの発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)治療薬・ボイデヤ錠(一般名:ダニコパン)や、ウルトラジェニクスジャパンのホモ接合体家族性高コレステロール血症治療に用いる抗体製剤・エヴキーザ点滴静注液(エビナクマブ(遺伝子組換え)などがある。

【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)

レキサルティ錠1mg、同錠2mg、同OD錠0.5mg、同OD錠1mg、同OD錠2mg(ブレクスピプラゾール、大塚製薬):「うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は4年。

非定型抗精神病薬。今回追加する新効能の用法・用量は、「通常、成人にはブレクスピプラゾールとして1日1回1mgを経口投与する。なお、忍容性に問題がなく、十分な効果が認められない場合に限り、1日量2mgに増量することができる」で、既承認の統合失調症の用法・用量とは異なる。

大うつ病性障害(MDD)に対する中心的治療は抗うつ薬による薬物療法で、SSRI、SNRI、ミルタザピンを第一選択薬とすることが一般的となっている。

ヒフデュラ配合皮下注(エフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)、ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)、アルジェニクスジャパン):「全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品及び新医療用配合剤。再審査期間は残余(2032年1月19日まで)。

エフガルチギモド アルファ(国内製品名:ウィフガート)は胎児性Fc受容体(FcRn)を標的とするアミノ酸残基を改変したヒトIgG1抗体Fcフラグメントで、FcRnを介したIgG抗体のリサイクル経路を阻害し、病原性IgG自己抗体を含むIgG濃度を低下させることにより、全身型重症筋無力症(gMG)に対する治療効果を示すと考えられている。既承認のウィフガートは点滴静注製剤。

新有効成分のボルヒアルロニダーゼ アルファは結合組織におけるヒアルロン酸を加水分解する酵素で、皮下組織における薬液の浸透性を増加させる。これにより両成分を含有するヒフデュラは皮下投与で用いることができ、医療従事者や患者の利便性の向上が期待される。

ヒフデュラの用法・用量は、通常、成人には本剤1回5.6mLを1週間間隔で4回皮下投与し、これを1サイクルとして投与を繰り返す。なお、ウィフガートは1回10mg/kgを1週間間隔で4回1時間かけて点滴静注し、これを1サイクルとして投与を繰り返す。

アイリーア8mg硝子体内注射液114.3mg/mL(アフリベルセプト(遺伝子組換え)、バイエル薬品):「中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性、糖尿病黄斑浮腫」を効能・効果とする新剤形医薬品。再審査期間は4年。

眼科用VEGF阻害薬で、既承認のアイリーア硝子体内注射液40mg/mL(以下、「既存製剤」)の高濃度製剤。

高濃度製剤の用法・用量は、「中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性」(nAMD)、「糖尿病黄斑浮腫」(DME)ともに同じ。具体的には、導入期は8mg(0.07mL)を4週ごとに1回、通常、連続3回硝子体内投与する(症状により投与回数を適宜減じる)。その後の維持期は通常、16週ごとに1回硝子体内投与する。なお、症状により投与間隔を適宜調節できるが、8週以上あける必要がある。

既存製剤もnAMDとDMEの適応を持ち、導入期は2mg(0.05mL)を1か月ごとに1回、nAMDは連続3回、DMEは連続5回、硝子体内投与する。その後の維持期はnAMD、DMEともに、通常2か月ごとに1回、硝子体内投与する。高濃度製剤は既存製剤に比べ、投与間隔の延長と年間の投与回数の減少につながり、患者負担の軽減が期待される。

リツキサン点滴静注100mg、同点滴静注500mg(リツキシマブ(遺伝子組換え)、全薬工業):「▽下記の臓器移植における抗体関連型拒絶反応の抑制:腎移植、肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植――。▽下記の臓器移植における抗体関連型拒絶反応の治療:腎移植、肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

抗CD20モノクローナル抗体。臓器移植後の拒絶反応は移植臓器の機能不全や廃絶の主な原因であり、患者の生命にも影響する。拒絶反応のうち抗体関連型拒絶反応(ABMR)は、患者が有する抗体と移植臓器の抗原による抗原抗体反応を介した補体活性化による内皮細胞の障害により、血栓形成、出血、梗塞、壊死等を引き起こし、移植臓器が傷害される反応であり、ABMRがコントロールできない場合には、移植した臓器の廃絶に至る。

本剤は、抗体産生細胞に分化するヒトB細胞に結合して傷害することから、臓器移植におけるABMRの原因となる抗体産生を直接的に抑制すると考えられている。

▽①ラパリムス顆粒0.2%②同錠1mg(シロリムス、ノーベルファーマ):「下記の難治性脈管腫瘍及び難治性脈管奇形:リンパ管腫(リンパ管奇形)、リンパ管腫症、ゴーハム病、リンパ管拡張症、血管内皮腫、房状血管腫、静脈奇形、青色ゴムまり様母斑症候群、混合型脈管奇形、クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群」を効能・効果とする①新効能・新用量・剤形追加に係る医薬品(再審査期間中のもの)②新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

mTOR阻害薬。PI3K/AKT/mTOR経路を抑制することにより、脈管腫瘍及び脈管奇形に有効性を示すと考えられている。脈管腫瘍及び脈管奇形の病因は明確ではないが、PI3K/AKT/mTOR経路の異常活性により、血管内皮細胞、リンパ管内皮細胞等の異常増殖を起こすことが原因の一つと考えられている。

既承認の錠剤は現在、「難治性リンパ管疾患(リンパ管腫(リンパ管奇形)、リンパ管腫症、ゴーハム病、リンパ管拡張症)」の効能を持っている。今回、「難治性リンパ管疾患」を「難治性脈管腫瘍及び難治性脈管奇形」に書き換え、「リンパ管腫(リンパ管奇形)、リンパ管腫症、ゴーハム病、リンパ管拡張症」に、「血管内皮腫、房状血管腫、静脈奇形、青色ゴムまり様母斑症候群、混合型脈管奇形、クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群」を追加する。また、顆粒剤を追加する。

レボレード錠12.5mg、同錠25mg(エルトロンボパグ オラミン、ノバルティス ファーマ):「再生不良性貧血」を効能・効果とし、小児用量を追加する新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は6年1日。

トロンボポエチン受容体作動薬。再生不良性貧血に対し同剤は、食事の前後2時間を避けて空腹時に1日1回の経口投与で用いるが、今回追加する6歳以上12歳未満の小児には37.5mgを、12歳以上の小児には既承認の成人と同じく75mgを投与する。

ボイデヤ錠50mg(ダニコパン、アレクシオンファーマ):「発作性夜間ヘモグロビン尿症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

補体D因子阻害薬。補体第二経路の律速段階である補体B因子の開裂を触媒する補体D因子のセリンプロテアーゼ活性を阻害し、補体第二経路の活性化及びC3フラグメントの沈着を抑制する。

用法・用量は、「通常、成人には、補体(C5)阻害剤との併用において、ダニコパンとして1回150mgを1日3回食後に経口投与する。なお、効果不十分な場合には、1回200mgまで増量することができる」。

現在、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)に対する治療薬として、C5に対するヒト化モノクローナル抗体(C5阻害薬)であるエクリズマブ及びラブリズマブが使用されているが、C5阻害薬が投与された一部の患者ではC3を介した血管外溶血が認められており、PNHの治療上の課題となっている。なお、PNHに対する治療薬として、C3阻害薬・ペグセタコプラン(エムパベリ)が23年3月に承認されている。

ゾキンヴィカプセル50mg、同カプセル75mg(ロナファルニブ、アンジェス):「ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群及びプロセシング不全性のプロジェロイド・ラミノパチー」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(HGPS)とプロジェロイド・ラミノパチー(PL)は、それぞれが大変希少な致死性の遺伝的早老症。いずれの病型とも深刻な成長障害、強皮症に似た皮膚、全身性脂肪性筋萎縮症などの早老症状が現れ、動脈硬化性疾患により若年期に死亡するとされ、HGPSの平均年齢は14.5歳と報告されている。HGPSの国内患者数は10人程度とされる。

同剤は、HGPSやプロセシング不全性のPLの小児及び若年成人において、核膜の構造・機能を損なうファルネシル化された変異タンパク質(核の不安定化と早期老化を惹起)の蓄積を阻害する。

エヴキーザ点滴静注液345mg(エビナクマブ(遺伝子組換え)、ウルトラジェニクスジャパン):「ホモ接合体家族性高コレステロール血症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

抗ANGPTL3モノクローナル抗体。アンジオポエチン様タンパク(ANGPTL3)に結合し、ANGPTL3によるリポタンパクリパーゼ(LPL)及び血管内皮由来リパーゼ(EL)阻害活性を抑制し、LDL受容体非依存的にLDL-C低下作用を示すと考えられている。LDL受容体が活性をほとんど示さないホモ接合体家族性高コレステロール血症(HoFH)患者に対して有効な新規作用機序の薬剤として期待されている。

用法・用量は、「通常、エビナクマブ(遺伝子組換え)として15mg/kgを4週に1回、60分以上かけて点滴静注する」。

【報告品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。

ミオMIBG-I123注射液(3-ヨードベンジルグアニジン(123I)、PDRファーマ):「パーキンソン病及びレビー小体型認知症の診断における心シンチグラフィ」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。公知申請。

プログラフカプセル0.5mg、同カプセル1mg、同カプセル5mg、同顆粒0.2mg、同顆粒1mg
グラセプターカプセル0.5mg、同カプセル1mg、同カプセル 5mg
(タクロリムス水和物、アステラス製薬):「腎移植における拒絶反応の抑制」を効能・効果とする新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間なし。

両剤とも現在、腎移植における拒絶反応の抑制のため、「移植2日前より」投与できるが、今回、「移植2日前より」を削除して「初期には」に改め、移植前の投与期間に関する規定をなくす。

ジェノトロピンTC注用5.3mg、同TC注用12mg、同ゴークイック注用5.3mg、同ゴークイック注用12mg(ソマトロピン(遺伝子組換え)、ファイザー)」:「プラダー・ウィリ症候群における体組成異常」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間なし。

プラダー・ウィリ症候群は、肥満、糖尿病、低身長、性腺機能不全などの内分泌学的異常と、発達遅滞、筋緊張低下、特異な性格障害・行動異常などの神経学的異常を呈する症候群であり、15番染色体長腕q11-q13に位置する父由来で発現する遺伝子の働きが失われたことで発症すると考えられている。
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