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ヤクルト本社・伊藤部長 オンコロジーカンパニーの旗は「降ろす」 医療用薬事業撤退「決まってない」

公開日時 2023/11/16 04:50
ヤクルト本社の伊藤淳・医薬事業管理部長は11月15日の2023年度第2四半期決算説明会で、オンコロジーカンパニーとしての旗は「降ろす」と述べた。同社はこれまで自社開発のカンプトにエルプラットを加えた2つの抗がん剤を中心に「世界に評価されるオンコロジーカンパニーとして事業活動を進める」としていたが、10月24日にエルプラットを含む8つのがん関連製品を高田製薬に承継・販売移管すると発表していた。医療用医薬品事業からの事実上の撤退の動きとみる向きが多いなか、伊藤部長が初めてオンコロジーカンパニーとしての“旗は降ろす”ことを認めた。

旗を降ろすことが、イコール医療用医薬品事業からの撤退と受け止めていいかとの質問に対し、伊藤部長は、「まだ決まっていない」と話した。高田製薬に承継・販売移管する8製品以外のヤクルト本社の取扱製品は、カンプトやカペシタビン「ヤクルト」など抗がん剤を中心に7製品ある。7製品の今後の取扱いについては、「当面は弊社で安定供給や情報活動を行うが、方策は検討中。決まり次第、お知らせする」と述べ、他社への承継・販売移管の可能性を示唆した。

MR数は23年3月末時点で131人。伊藤部長は高田製薬への8製品の承継・販売移管にあたり、「(高田製薬に)営業の人間を中心に在籍出向する」と説明した。

同社では、2005年のエルプラットの上市を最後に新たな抗がん剤の上市はない。従来から少数品目に依存したビジネスモデルだったが、今回、このビジネスモデルでは「将来の持続成長は見込めないと判断した」とし、「当社が取り扱うがん関連の医療用医薬品の事業の最適化を検討してきた」と説明した。そして、1980年からの長きにわたる協業パートナーである高田製薬に、がん関連製品の一部を承継・販売移管することを決めた。

承継・販売移管する製品は、ヤクルト本社の製造販売製品である▽エルプラット、▽オペプリム、▽レボホリナート「ヤクルト」――の3製品と、高田製薬からの販売受託品の▽ゲムシタビン「ヤクルト」、▽イマチニブ「ヤクルト」、▽ゲフィチニブ「ヤクルト」、▽ペメトレキセド「ヤクルト」、▽ボルテゾミブ「ヤクルト」――の5製品の計8製品となる。このうちエルプラットの販売移管は24年4月、承継は25年4月の予定。

ヤクルト本社は8製品の承継・販売移管の発表の中で、「開発中の品目を除き、新たな抗がん剤の開発には着手しない」との方針も示している。伊藤部長によると、この開発中の品目はドイツの4SC社から国内権利を獲得した経口HDAC阻害薬・レスミノスタットで、日本を含むグローバル第3相試験が実施されている。契約内容の詳細は明らかになっていないが、オンコロジーカンパニーの旗を降ろすことで、今後の同剤の日本における開発・上市スキームが変更される可能性もある。
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