武田薬品・内田日本オンコロジー事業部長 MR活動に「顧客エンゲージメントモデル」を導入 AI活用
公開日時 2023/10/18 04:52
武田薬品グローバルオンコロジービジネスユニットの内田智・日本オンコロジー事業部長 は本誌インタビューに応じ、MRの情報提供活動にAIやデジタルを活用していると明かした。2022年から「顧客エンゲージメントモデル」を導入しており、MRの活動実績などを全て組み合わせてAIで分析し、MRが適切なタイミングで、適切なチャネルで医療者に情報提供している。一方、ビジネスモデルの変化について内田事業部長は、①サイエンスの進展に伴う個別化医療の前進、②データの利活用、③医療アクセスーに注目していると説明。中期戦略の策定では「人・挑戦・機動力」の3つのキーワードをもとに戦略を練っていると強調した。
◎全員参加で日本オンコロジービジネスユニットのパーパスを作成
内田事業部長は、着任後に従業員の全員参加で日本オンコロジービジネスユニットのパーパスを作ったことを紹介した。同氏は、「がんに立ち向かう全ての人の中には、患者さんもいれば医療従事者もいる。様々なパートナーシップの形がある」と語る。その一つが「ペーシェント・ジャーニー」だとも強調した。今年5月にボストンで開催した「国際医薬経済アウトカムリサーチ学会」では、富士通、国立がんセンターと行った共同研究を発表した。内田事業部長は、「日常診療におけるリアルワールドデータ(RWD)から、ペーシェント・ジャーニーを可視化できることを十分に示せた」と自信をのぞかせた。
◎情報提供活動に「MSOC」活用 AIで分析 適切なタイミングとチャネルで届ける
一方、情報提供活動の面では、「マイクロセグメンテーション・オムニチャネル(MSOC)を活用した活動に注力している」と明かしてくれた。MRの活動実績などを全て組み合わせてAIで分析し、MRが適切なタイミングで、適切なチャネルで届ける仕組みを持っており、「医療関係者によるがん患者への治療に少しでも貢献できる情報活動に努めている」と語る。
MSOCで特筆すべき点は、「オムニチャネルと組み合わせることによって、どのタイミングでどの情報がどのチャネルで入ってくるかを明確にマイクロセグメンテーションし“One to One”で設定できる」ところだ。話題の生成AIについては、慎重姿勢を示しながらも、「爆発的に何か変化を起こす可能性があるため、我々として今後どのように活用していくべきか、グローバル全体で注視しているところ」と述べ、先を見通した。
◎“人・挑戦・機動力”の3つのキーワードを重視 中期戦略
変革期を迎えた製薬ビジネスについて所見を聞いた。内田事業部長は、「1つは中期戦略の策定というところで、“人・挑戦・機動力”の3つのキーワードを元に戦略を作っている」と明かしてくれた。「変化を恐れず、いかに挑戦していくマインドセットを持った人材を育てられるかが重要だ」と語る。「それが習慣となった組織が実現できたときに、いかにその機動性を担保できるかに尽きる」と述べ、「そうすることによって、変化自体の先読みはできないけども、変化に即応できる体制は作れると考えている」と強調した。
「もう1つはパートナーシップというものが大きいのかなと思う」と指摘する。内田事業部長は、「先が見えない以上、全てを自前で揃えるということはもはや不可能だ。逆にイノベーションはどこから生まれるかというと、様々な学際のような領域と領域の“際”によって生まれる。なので、いかに幅広くR&D、コマーシャル、メディカル、そういったところで幅広くパートナーシップを結んで、そのイノベーションの種を絶やさないようにしなければならない」と強調。「これは我々が目指す持続的な成長に関わってくるもので、我々が継続的にアンメットメディカルニーズを追い続けるための基盤になると考えている」と熱く語った。