大塚製薬とジョリーグッド 精神疾患患者の就労をVRコンテンツで支援 精神疾患で地域連携の一助に
公開日時 2023/08/31 04:50
大塚製薬とジョリーグッドは8月30日、VR(バーチャル・リアリティ)を活用した精神疾患患者向けソーシャルスキルトレーニンプログラムを使った就労支援向けVRコンテンツの提供を開始すると発表した。製薬企業が就労支援に参画することは業界初の試み。両社はVRの力で患者のリカバリーを支え、精神疾患をもつ方に対応した地域連携プラットフォームの構築を目指す。
今回開発した「FACEDUO(フェイスデュオ)」と呼ばれる精神疾患患者向けソーシャルスキルトレーニング(SST)プログラムは、社会生活を送る上で必要な対人関係や自己管理能力などを養い、身に付けることができる。VRコンテンツを使うことで、360度空間の中で、オフィスやホームセンターなどの職場で働いている方の視点で、「上司に仕事の進捗を報告する状況」や、「同僚と休憩の時間に雑談する状況」など、様々な職場環境体験を通じて、精神疾患をもつ患者が就労を目指す際に必要とされるコミュニケーションスキルを学ぶことができる。
両社によると、精神疾患をもつ患者の職場復帰支援は、9割以上の支援者が「企業の復職判定基準のハードルが高すぎる」と感じており、主治医が考える復職可能基準と企業が求める復職可能基準に大幅な乖離があることが課題の一つだという。実際に、精神障害者の雇用率は17.9%で、就職1年後の定着率は49.3%と、全障害者雇用の中で最も低い現状だ。
両社は今回開発したVRコンテンツを活用することで、「医療機関から地域へ、支援施設から社会復帰まで、VR の力で患者さんのリカバリーを支え、精神疾患をもつ方にも対応した地域連携プラットフォームの構築を目指す」としている。