キッセイ薬品 脊髄小脳変性症治療薬・ロバチレリンの申請取り下げ 現状のデータでは「承認困難」
公開日時 2023/07/20 04:51
キッセイ薬品は7月19日、脊髄小脳変性症治療薬・ロバチレリン(一般名、開発コード:KPS-0373)の承認申請を取り下げたと発表した。PMDAから「現状の臨床試験データでの承認は困難」との見解が示され、今後の開発方針を検討するため。同社は、「追加臨床試験の実施可能性などについてPMDAと協議する」としている。
同社は2021年12月に同剤を申請した。2本の第3相臨床試験を実施したが、安全性については忍容性が確認されたものの、いずれの試験においても、主要評価項目である運動失調を評価するためのSARA合計スコアの変化量は、プラセボ群と比べて統計学的に有意な改善を認められなかった。一方で、第3相臨床試験の組み入れ基準に合致する患者(より重症度が高い患者層)を対象とした併合解析(事後解析)を行った結果、SARA合計スコア変化量は、プラセボ群と比べて統計学的に有意な改善を認めた。
同社は当時、「ロバチレリンは、これまでに実施した2本の臨床試験ならびに併合解析の結果から、国際的に用いられているSARAスコアにより、脊髄小脳変性症における運動失調に対して初めて改善効果が検証された薬剤であると判断し、製造販売承認申請を行った」と説明していた。
ロバチレリンは塩野義製薬が創製した甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)誘導体。中枢神経系に分布するTRH受容体に結合して、ドパミンなどのモノアミンやアセチルコリンなどの神経伝達の遊離を促進することで神経系を活性化させる作用がある。キッセイ薬品は塩野義製薬から国内の開発・販売権を取得し、脊髄小脳変性症治療薬として開発した。