ジャカビの造血幹細胞移植後のGVHDの効能追加など2製品を審議へ 7月24日の薬食審・第一部会で
公開日時 2023/07/11 04:50
厚生労働省は7月24日に薬食審・医薬品第一部会を開き、JAK阻害薬・ジャカビ錠への造血幹細胞移植後の移植片対宿主病の適応追加など2製品の承認可否を審議する。同剤の今回の追加適応は希少疾病用医薬品に指定されている。
報告品目は、リツキサン点滴静注(全薬工業)への「既存治療で効果不十分なループス腎炎」の適応追加の1品目。同部会で承認が了承された場合、8月中に正式承認される見込み。
【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽ジャカビ錠5mg、同10mg(ルキソリチニブリン酸塩、ノバルティスファーマ):「造血幹細胞移植後の移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。
経口JAK阻害薬。造血幹細胞移植における移植片対宿主病(GVHD)は、同種移植後に特有の合併症で、ドナー由来のリンパ球が患者の正常臓器を異物とみなして攻撃することによって起こる。移植関連死の主要な一因として知られる。GVHDの一次治療にはステロイドが使われる。
▽ソリリス点滴静注300mg(エクリズマブ(遺伝子組換え)、アレクシオンファーマ):「全身型重症筋無力症(免疫グロブリン大量静注療法又は血液浄化療法による症状の管理が困難な場合に限る)」を対象疾患に小児用量を追加する新用量医薬品。希少疾病用医薬品。
抗補体(C5)モノクローナル抗体製剤。全身型重症筋無力症は眼瞼下垂、嚥下困難、発語困難など様々な症状を有し、生命を脅かすような呼吸筋の筋力低下に至る可能性のある重度の筋力低下を引き起こすことがある。希少性の慢性的かつ症状の変動を予測することが難しい自己免疫疾患で、病原性自己抗体がシナプス後膜上の特定のタンパク質を標的とすることにより、神経筋接合部におけるシナプス伝達を阻害すると考えられている。これにより神経が筋肉に連絡する方法が妨げられ、筋肉が収縮しにくくなる。
【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
▽リツキサン点滴静注100mg、同500mg(リツキシマブ(遺伝子組換え)、全薬工業):「既存治療で効果不十分なループス腎炎」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。事前評価済み公知申請。
日本リウマチ学会が厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」に同剤のループス腎炎に対する開発要望を提出。同会議からの要請をうけて日本リウマチ学会は、日本腎臓学会、日本小児リウマチ学会、日本小児腎臓病学会との連携のもと、ループス腎炎に対するリツキシマブの使用方法、有効性、安全性を確認する目的で国内使用実態調査を実施し、さらにこれら4学会合同ステートメントを作成のうえ、公知申請による早期承認を訴えた。
そして23年2月15日開催の検討会議で公知申請が妥当と判断され、同年3月3日の薬食審・医薬品第一部会で公知申請に係わる事前評価が完了していた。