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日本CSO協会 稼働コントラクトMR数は前年比6.2%増 全MRに占める比率は初の7%台に

公開日時 2023/06/02 04:51
日本CSO協会は6月1日、「わが国のCSO事業に関する実態調査-2022年版-」を発表した。2022年10月時点の稼働コントラクトMR数(医療機器担当、MSL、エデュケーショナル・ナースなど含む。以下「コントラクトMR」)は前年比6.2%増の3637人となった。人数では213人増となる。全MRに占める比率を指すアウトソーシング率は0.6ポイント増の7.0%となり、初めて7%台に達した。CSO活用企業数は最多の155社。新興バイオファーマやヘルスケア業界での活用が拡がっていることが確認された。

同協会の木﨑弘会長(シミック・アッシュフィールド社長執行役員、写真左から2番目)は同日の会見で、CSOの活用が増えている現状について、「製薬業界から医療機器などの企業、医療機関など、広くヘルスケア業界へと市場のすそ野が拡大している」との認識を示した。

最近のCSOへのニーズとして、顧客企業での人財育成への介入、新しいアプローチモデルの構築・確立への貢献、組織活性化への貢献――などが増えていると言い、CSOには「従来型の役割を基盤に、様々なイニシアチブの『チェンジエージェント』として新しいコマーシャルモデルへの変革を加速する役割が期待されている」と強調した。コントラクトMRが誕生し、CSO事業が開始された1998年から25周年を迎える今、顧客のパートナーとしての付加価値をより高めることに意欲を示し、欧米でのアウトソーシング率である10%超を日本でも達成することに自信を見せた。

◎コントラクトMR 7年ぶりに外資系企業が内資系を上回る

実態調査は同協会加盟5社を対象にCSO事業の動向、CSO企業及びコントラクト人財の状況などを調べた。調査期間は22年10月~23年2月で、22年10月1日時点の状況を聞いた。なお、MR認定センターが22年9月に公表した22年版の「MR白書」によると、コントラクトMR数は3948人。CSO事業を展開する企業は10社以上あるが、同協会加盟5社のコントラクトMRが全体の約9割を占める。

コントラクトMRは今回、7年ぶりに外資系製薬企業での活用数が内資系製薬企業を上回った。外資系のコントラクトMR数は前年比347人増の1851人、内資系は同217人減の1529人だった。外資系では特に、▽従業員数1500人以上の大手企業で267人増、▽500人未満の企業でも274人増――と突出して伸びていた。一方、内資系では1500人以上の大手で199人減だった。

木﨑会長は特に外資系企業でコントラクトMRが増加した理由について、新型コロナのワクチン・治療薬を手掛ける企業や新興バイオファーマからのニーズに加え、「製薬企業のスリム化の中で、私たちへの期待もあった」と述べ、早期退職者募集後の欠員補充や製薬企業内のフレキシブルな人材活用の進展が背景にあることを示唆した。

顧客1社あたりの平均稼働人数は、従業員1500人以上の大手で前年比35.5%増の103人となり、コントラクトMRを活用するときにはダイナミックに使う傾向がみられた。

◎CSO活用企業数は過去最高 製薬+ヘルスケア業界で活用進む

CSO活用企業数は前年比17社増の155社となり、過去最高を更新した。特に従業員500人未満の企業で活用が進み、22年に前年比19社増の113社が活用した。同協会の昌原清植副会長(MIフォース社長)は、「新興バイオファーマ等を含む小規模製薬企業、医療機器メーカー、医療機関などでCSO活用が拡がっている」と述べ、“製薬+ヘルスケア業界”での活用企業の拡張継続がみられると説明した。製薬企業以外では、医療機器メーカーで前年比58人増の180人、医療機関(病医院・薬局)や診断薬など「その他」で同25人増の77人が派遣先で活躍している。

◎活用領域で「がん」がトップ3入り

コントラクトMR(MR以外の人材含む)の活用領域ランキングでは、「がん」が初めてトップ3入りを果たした。「がん」を手掛けるコントラクトMRは稼働人数全体の26.6%で、前年比33.8%伸びた。「中枢神経」も同26.6%、前年比0.7%増。両疾患が活用領域ランキングの3位タイで、コントラクトMRのスペシャリティ領域での活用拡大が確認された。

なお、1位は「循環器・脂質異常症」(稼働人数全体の31.4%)、2位は「糖尿病」(27.1%)で前年と順位は変わらなかったが、「循環器・脂質異常症」は前年から12.0ポイント落ちた。

◎7領域以上経験者が過半数 「経験豊富なMRがCSO業界に入った」

今回の調査では、各社の主力品を中心に多領域およびスペシャリティ領域の経験者が増加していることも確認された。新薬をはじめとする顧客各社の主力領域を中心に7領域以上の経験者が前年比15.7ポイント増の51.3%と過半数となり、5領域以上では約7割にのぼった。

多領域経験者が増えた背景にはCSO在籍年数の長期化に加え、「経験豊富なMRがCSO業界に入った」(昌原副会長)ということもある。実際、CSO業界における22年の採用人数は前年比10人増の764人だが、このうちMR経験者は同60人増の674人だった。さらに、これまで40歳前後で推移していたMR経験者の入社時年齢は、22年に平均47.3歳と上昇していることも確認された。

同協会は、平均年齢の上昇理由の一つに「50歳以上の入社者の増加」があるとし、「新薬パイプラインのスペシャリティ領域シフトを受けて、経験者ニーズが高い傾向にあることや、CSOのサービスが高度化・多様化する中で、ベテラン世代の活躍の場が拡大している」という。今回の調査から、CSO業界が早期退職に応募したMRの受け皿のひとつとなっていることが見受けられ、これまでの豊富な経験を活かして新たなフィールドで活躍していることが垣間見える。
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