帝人・内川社長 希少疾患・難病の医薬品導入に注力 在宅医療事業の基盤を活かして患者に貢献
公開日時 2023/05/12 04:49
帝人の内川哲茂代表取締役社長は5月11日に開いた2023年3月期(22年度)の決算会見で、ヘルスケア事業の今後の方向性について、強みとする在宅医療事業で培った事業基盤でなければ患者に提供できないような希少疾患・難病領域の医薬品を手掛けていく考えを示した。「これまでの360度全方位であったところから、『より支えを必要とする患者』に対し、希少疾患や難病といった疾病領域をイメージしながら、ヘルスケア事業をフォーカスしていく」と述べた。最主力品のフェブリクに22年6月に後発品が参入し、ヘルスケア事業は22年度、23年度と2期連続の減収減益が見込まれることから、同事業の変革を加速させる。
希少疾患・難病領域の医薬品の導入活動は既に開始しているが、詳細は現時点では非開示。導入品などを公表できる段階にヘルスケア事業のV字回復プランも提示したいとし、「今期中の発表を待ってもらいたい」と述べた。
◎フェブリク 22年度売上145億円、62.6%減
同社のヘルスケア事業の22年度業績は、売上1524億円(前年度比13.0%減)、営業利益235億円(45.7%減)だった。21年度売上が388億円だった痛風・高尿酸血症治療薬・フェブリクに22年6月に後発品が参入し、22年度は145億円(62.6%減)に激減。これが同事業の2ケタの減収減益の主因となる。なお、22年度薬価改定や競合激化により、ネシーナ、イニシンク、リオベル、ザファテックの糖尿病治療薬4製品の22年度売上は計248億円(9.8%減)となった。
23年度業績予想は売上1400億円(8.1%減)、営業利益165億円(29.8%減)――と厳しい業績となる見通し。年間を通じてフェブリクの後発品影響を受けることが主な理由となる。製品別の売上予想は開示していない。同社は23年度の医薬品市場の環境について、「リアル面談活動は増加も病院での訪問規制は継続が見込まれる」とし、「リアルとe-プロモーションのハイブリッド活動を展開する」としている。
帝人ヘルスケアセグメント
【22年度業績(前年同期比)、23年度予想(前年同期比)】
売上高1524億円(13.0%減) 1400億円(8.1%減)
営業利益235億円(45.7%減) 165億円(29.8%減)
【22年度国内主要製品売上(前年同期実績)、億円】
フェブリク 145(388)
糖尿病治療薬4製品合計 248(275)
ネシーナ 122(131)
イニシンク 74(79)
リオベル 34(41)
ザファテック 17(25)
ボナロン 69(78)
ソマチュリン 57(54)
ベニロン 44(46)
ロコア 19(20)
ゼオマイン 18(10)
ムコソルバン 18(22)