MR意識調査 「キャリアへの不安」8割超 外資系勤務者は9割 課題乗り切る「学び」やリスキニング
公開日時 2023/03/03 04:52
ミクス編集部が行った「MR意識調査2023年版」によると、自身のキャリアに不安を感じるとの回答が全平均の8割を超えた。特に、外資系企業勤務者からの回答は9割近くに及んだ。最盛期に6万6000人まで増えたMR総数は、2023年中に4万人台まで減少することが見込まれる。「見えない圧迫感が迫りくる」―。そんなことを感じさせる調査結果にミクス編集部も驚いた。一方で、「MRのままでいたい」と願う回答も全体の3割弱を占める。目前の課題を乗り切るための「学び」やリスキリングに果敢に挑戦する姿を垣間見ることができた。
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◎「不安を感じる」30代が89.3%で年代別のトップに
「製薬各社に早期退職優遇制度が導入され、MR総数が減少しています。自身のキャリアに不安を感じますか?」―との問いに、「感じる」との回答は全平均で83.7%に上った。内訳をみると、内資系企業勤務者の80.0%に対し、外資系勤務者は89.7%となっている。年代別に見ると、30代の回答が89.3%と最も高率で、40代の86.8%、20代の85.7%と続く。営業組織の中核層である30代、40代が自身の将来のキャリアに不安を感じるということは、少なからず製薬産業そのものの将来にも暗い影を投げかけるものだ。
昨今は外資系に限らず、内資系を含めてMR総数の減少が続いている。コロナ禍でMRと医師の面談機会が減る一方で、デジタルを活用した情報提供の流れが強まっている。さらに言えば、支店や営業所の再編・統合など営業組織そのものの見直しも相まって、営業生産性の向上やROIの改善などに対する本社側のグリップがより強まり、その余波が現場MRにも及んでいることが、こうした調査結果の背景に潜んでいるのではないかと編集部は分析した。
◎不安を抱えながらも“変化”には難しさ
MRは将来のキャリアについて、どのような希望があるのか―。「MRのまま(現状維持)」との回答は27.9%。年代別では20代・30代が14.3%と低くなる一方、50代は51.6%となり、全体を押し上げる形となった。担当別では、キャリア不安を抱えている割合が高かった「中小病院(病床数199床以下)及び開業医担当」の45%が現状維持を選択。大学病院担当(13.5%)や大病院担当(22.2%)と比較して高い値となった。不安は抱えているものの、環境や職務を変えたくないという姿勢が見え隠れする。
◎揺れるチームリーダー セカンドキャリアへの挑戦も視野に・・・
前回調査(22年版)でトップの「営業職としてポジションアップを図る」は、全回答の24.0%となり、ランクは2位に下がった。注目したいのは役職別の結果だ。「営業係長、営業課長、営業所長」では46.7%と半数に迫り、高い値をマークしたが、MRでは21.5%、チームリーダーは16.7%にとどまった。このうちチームリーダーについては、「明確なキャリアは決まっていないが、セカンドキャリアに挑戦」も同じ割合(16.7%)で存在している。本社から営業職としてポジションアップを期待されているチームリーダーであっても、一定の割合の回答者がセカンドキャリアへの挑戦を希望している実態が浮かび上がった。なお、「セカンドキャリアに挑戦」を選択した人は、全回答で7.7%だった。
「社内公募制を活用したキャリアアップ」も全体の7.7%に上ったが、20代では28.6%が選択した。医師や薬剤師など「医療従事者への転職」が5.8%、「医療関係・MR以外の他職種への転職」・「他社MRへの転職」が3.8%となったほか、同一企業内での部署や職務の異動を希望する選択肢「マーケティング職への移籍」(4.8%)、「MSLへの移籍」(2.9%)、「PMS、学術部門への移籍」(1.9%)、「グローバル部門に異動して海外事業に挑戦」(1.9%)にも一定数の票が集まった。