東芝・DeNAライフサイエンス ヘルスデータ活用で事業化検討 創薬プロセス支援や上市後分析を視野
公開日時 2023/01/30 04:50
東芝とDeNAライフサイエンスは1月26日、ヘルスデータを活用したサービス提供についての検討を開始した。両社は、ゲノムデータや健康診断結果、生活習慣アンケートデータなどを保有しており、互いのデータを統合することで新たなサービスを提供し、社会課題の解決につなげる。医薬品分野では、新薬の研究開発や市販後の調査などへの活用も視野に入れている。両社は、24年4月まで、医薬品開発やヘルスケアサービスなど4つのテーマに沿って提供できるサービスの事業化を検討する。
東芝は、従業員を含む1万人を超えるゲノムデータに加え、過去10年以上の従業員の健康診断、問診結果およびレセプトデータを蓄積してきた。また、産業分野で培ってきたビッグデータ解析技術を応用し、将来の生活習慣病の発症リスクの予測に関するAI「生活習慣病発症リスク予測AI」の開発実績を有している。
一方、DeNAライフサイエンスは、約12万人の会員が利用する遺伝子検査サービス「MYCODE」を展開している。同サービスは、研究参加同意があった会員とオンラインでリコンタクト(サービス参加者への再コンタクト)が可能なパネルを持ち、ゲノムデータと生活習慣に関するアンケート回答などを基に企業やアカデミアと共同研究をするプロジェクト「MYCODE Research」にも活用されているという。
◎両社のデータを統合 創薬プロセスの支援、薬剤上市後の分析支援で事業化目指す
両社のデータを統合し、▽創薬プロセスの支援、▽薬剤上市後の分析支援、▽健康増進を支援するサービス開発、▽リコンタクトパネル参加型の臨床試験・研究の運営―の4つのテーマに沿って事業化を目指す。
◎遺伝的背景を有する集団 創薬標的の探索や既存薬剤の再活用への可能性を探る
このうち医薬品分野では、独自の遺伝的背景を有する集団を見出し、病気のタイプに合わせた創薬標的の探索や既存薬剤の再活用への可能性を探る。また、薬剤の副作用や合併症等の発症メカニズム、個人差を見出すため、ヘルスデータの複合的分析を見据えたデータ利活用の可能性を調査する。ヘルスケア分野では、糖尿病や心血管疾患など生活習慣病予防のための行動変容プログラムを構築する。
両社は、製薬企業などの他企業のほか、アカデミアとの共同研究やバイオバンクとの連携も視野に入れ、社会的経済的に価値のあるサービスの創出と社会実装を目指していく。