“患者の声”“使用感評価”等による想起ランキング タケキャブ首位陥落 19年4月からの連続1位途絶える
公開日時 2023/01/25 04:52
診察時の「患者の声」や実際に処方した「医師の使用感評価」といったノンプロモーション系情報チャネル(以下、ノンプロ系チャネル)によって医師に想起された製品ランキングで、19年4月調査以降、14期連続1位だった抗潰瘍薬・タケキャブがついに首位の座を明け渡した。同調査は3カ月ごとに年4回実施しており、今回は2022年10月の結果となる。この1年間のタケキャブの想起医師数は調査ごとに拡大推計で1万6000~8000人台で推移しており、10月調査でも1万7000人(100人未満切捨て)に想起されていた。この1年間と比べて10月の想起医師数は極端に大きく減ったわけでないが、他剤の想起医師数の伸長により、タケキャブは3位に順位を落とした。
◎1位はエンレスト 「使用感評価」による想起医師数増加
タケキャブに代わって首位に立ったのは慢性心不全・高血圧症治療薬・エンレスト(想起医師数1万9000人、前回7月調査2位)となる。主要なノンプロ系チャネルのひとつの「使用感評価」で同剤を想起する医師が増加し、「使用感評価」だけで医師1万1800人に想起された。エンレストの「使用感評価」による製品ランキングは1位。ちなみにタケキャブは8200人の3位だった。
エンレストの「使用感評価」による想起医師数は拡大し続けている。21年10月調査時で5000人、22年1月調査で8400人、4月調査で1万100人、7月調査で1万1000人、10月調査1万1800人――との状況だ。多くの医師で同剤の使用感が固まりつつあるいま、処方の手応えや懸念点などの情報を収集し、デジタルコンテンツや講演会の企画に落とし込みたいところだ。
◎2位のデエビゴ 「患者の声」の想起ランキングでは首位に
ノンプロ系チャネルの全体2位は不眠症治療薬・デエビゴ(同1万7800人、3位)だった。症状改善がわかりやすいこともあって「患者の声」をきっかけに同剤を想起した医師が増加。このチャネルだけで7300人(前回調査比約900人増)に想起され、このチャネルの想起ランキングで1位となった。「使用感評価」でも医師8600人(同約600人増)に想起され、エンレストに次ぐ2位となり、3位のタケキャブを超えた。
デエビゴを含むオレキシン受容体拮抗薬は、その作用機序から睡眠覚醒リズムを整え、自然な入眠と睡眠維持をもたらす。効果は個人差が大きいといわれるが、今回の調査結果からも着実に効果を実感している患者が増え、この「患者の声」が医師の「使用感評価」につながっていると考えられそうだ。
ノンプロ系チャネルは、「患者の声」「医師の使用感評価」「学会ガイドライン」といったプッシュ型ではない情報チャネルを指す。使い慣れた薬剤や、痛みなどの自覚症状がある疾患の治療薬が「使用感評価」や「患者の声」といったチャネルで想起され、ランキング上位製品の顔ぶれもあまり動かない傾向にある。同調査は年4回(1月、4月、7月、10月)実施している。
なお、10月のノンプロ系チャネル合計による製品想起トップ10製品と推計想起医師数(100人未満切捨て)は以下の通り。
1位 エンレスト 想起医師数1万9000人
2位 デエビゴ 想起医師数1万7800人
3位 タケキャブ 想起医師数1万7000人
4位 フォシーガ 想起医師数1万3000人
5位 カロナール 想起医師数1万2200人
6位 タリージェ 想起医師数1万1700人
7位 ビラノア 想起医師数1万300人
8位 ジャディアンス 想起医師数9300人
9位 ロキソニン 想起医師数9100人
10位 リリカ 想起医師数8900人
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