GE専業大手年頭所感 安定供給は社会的責任、生産設備増強へ 健康寿命延伸やQOL向上の新事業に意欲
公開日時 2023/01/10 04:49
ジェネリック(GE)の安定供給問題の解決に時間を要しているなか、GE専業大手2社の経営トップの年頭所感では、安定供給への決意とともに、生産設備増強に引き続き注力するとの内容が目立った。また両社とも、健康寿命の延伸やQOL向上に貢献していく考えを示し、GE事業とともに新事業を展開していく構えもみせた。
◎沢井製薬・澤井社長 「必要不可欠な医薬品を安定供給するという責任のある立場」
沢井製薬の澤井健造社長は、GEの安定供給問題について、「GE医薬品業界が引き続きご心配とご迷惑をおかけしている」と陳謝した。GEを含む医薬品業界全体の産業構造について抜本的な議論がなされているとした上で、「社会インフラとして必要不可欠な医薬品を安定供給するという責任のある立場から、制度環境のあるべき姿の実現にも引き続き尽力して参る所存」との考えを示した。
同社では、限定出荷品目の全面解除に向けて全社を挙げて取り組んでいる。しかし、「いまだ多くの限定出荷品目が残存している状況」だ。この打開に向けて23年は、「昨年グループに加わったトラストファーマテックによる市場への製品供給を開始する」としたほか、第二九州工場新固形剤棟建設を「加速させる」と表明し、GE医薬品の製造・品質管理と生産能力の向上に引き続き注力する決意を示した。トラストファーマテックは小林化工の生産設備とその業務にあたる人材を譲り受ける受け皿として設立された企業で、23年4月の初出荷に向けて準備を進めている。
このほか澤井社長は、「PHR管理アプリや医療機器などの活用を通じてより広く医療に貢献し、人々の健康と QOL の向上に取り組んでいく」とも語った。
◎東和薬品・吉田社長 GE80%時代を踏まえ「品質面での安全性や安定供給は社会的責任」
東和薬品の吉田逸郎社長は、「昨今のジェネリック医薬品業界の品質や安定供給の問題で、関係者の皆様にご心配をおかけしている」とした上で、「『ジェネリック80%時代』となった今、品質面での安全性や安定供給は社会的責任であると考えている」との認識を示した。そして、「現在、自社でできる範囲で増産を進めている」とし、21年度に120億錠だった生産能力は、新規設備の設置により22年10月頃から140億錠の生産能力となり、今後175億錠体制にするべく現在建設中の第三固形製剤棟、第二無菌性剤棟、倉庫棟を23年に竣工予定だと紹介した。
吉田社長は、“東和品質”と呼称している自社グループの品質にも言及した。“東和品質”は、徹底した品質管理のもと、最新技術で改良・改善を重ね、その時々で最新・最高のものを追求し、市場から評価され必要とされる製品総合力No.1の製品づくりをしていくという考えのこと。吉田社長は、「東和品質の製品サービスを世の中に提供することが、会社としての目的であり使命でもあるということを東和薬品グループ全員の共通認識として掲げている」と述べ、市場から必要とされる製品を徹底した品質管理のもと提供していく姿勢を示した。
23年は同社グループにおいて、▽組織強化、▽グループガバナンス強化、▽人財育成――に重点を置き、シナジー効果を最大限発揮できるように情報共有、認識合わせ、協力体制を敷く方針。吉田社長は、「『健康寿命の延伸に貢献する会社』となるべく取り組む」とし、GE事業に加えて未病の人をそれ以上悪化させない、健康な人は健康を維持できるような事業を新たに展開していく構えをみせた。