ブレヤンジ 再発・難治性LBCLあるいはFL、2次治療で使用可能に 薬食審・再生医療等製品部会で了承
公開日時 2022/12/13 04:51
厚生労働省の薬食審再生医療等製品・生物由来技術部会は12月12日、ブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)のCAR-T細胞療法・ブレヤンジ静注について、初発(未治療)の大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)あるいは濾胞性リンパ腫(FL)に対する1次治療後において、再発・難治性LBCLあるいはFLに対して2次治療での使用を可能とする効能追加の承認の可否を審議し、承認を了承した。同様に、第一三共のCAR-T細胞療法・イエスカルタ点滴静注について、初発(未治療)のLBCLに対する1次治療後において、再発・難治性LBCLに対して2次治療での使用を了承した。これまで、いずれも3次治療での使用に限定されており、より早期からCAR-T細胞療法を実施できるようになる。
◎ゾルゲンスマ 非臨床試験に係る論文撤回で審査報告書と添付文書を改訂
一方、報告事項では、ノバルティスファーマの脊髄性筋萎縮症に対する遺伝子治療薬・ゾルゲンスマ点滴静注の承認審査に関連した、疾病モデルマウスを用いた非臨床試験に係る論文撤回に伴う対応について議論した。この日の部会で厚労省は、「有効性・安全性は治験等のデータで確認されており、既存の評価に変化はない」との判断を示し、11月28日付で審査報告書および添付文書から論文引用箇所を削除する改訂を行ったことを報告した。
今回問題となった非臨床試験(SMNΔ7マウスを用いたin vivo有効性試験)の論文では、疾病モデルマウスを対象にベクター静脈内投与群と非投与群を比較したところ、ベクター静脈内投与群において「250日超生存したマウスは6匹」とされていたが、実際には「250日超生存したマウスは1匹」だけだった。
◎「いい加減なデータでも臨床に入ってしまって、うまくいったら儲けものみたいな話になりかねない」
委員からは、「これが許されてしまうと、いい加減なデータでも臨床に入ってしまって、うまくいったら儲けものみたいな話になりかねない」との懸念が示された。また、「今回部会に提出された資料に、ノバルティスが自主的に一斉点検を実施したわけではなく、FDAの指示に基づいて実施したという事実関係の記載がない」、「もしこの論文が無かった場合、臨床試験に進んだかどうかなど、時系列が明らかでないところがある」といった意見も出された。これを受け厚労省では、近日中に部会提出資料の修正を行うとともに、次回以降の部会で時系列を整理した報告書を提示する方針だ。
【審議品目】(カッコ内は一般的名称、申請企業)
▽ブレヤンジ静注(リソカブタゲン マラルユーセル、BMS)
現在の「効能、効果又は性能」から、「以下の再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、形質転換低悪性度非ホジキンリンパ腫、高悪性度B細胞リンパ腫)、再発又は難治性の濾胞性リンパ腫。ただし、CD19抗原を標的としたキメラ抗原受容体発現T細胞輸注療法の治療歴がない患者に限る」以外の部分を削除する。
また、「効能、効果又は性能に関連する使用上の注意」について、「濾胞性リンパ腫については、十分な経験を有する病理医により、Grade 3Bと診断された患者に投与すること」と改める。これまでは「濾胞性リンパ腫については、十分な経験を有する病理医により、Grade 3Bと診断された後に、2回以上の化学療法により完全奏効が得られなかった又は治療後に再発した患者に投与すること」となっていた。
▽イエスカルタ点滴静注(アキシカブタゲン シロルユーセル、第一三共)
現在の「効能、効果又は性能」から、「以下の再発又は難治性の大細胞型B 細胞リンパ腫(びまん性大細胞型B 細胞リンパ腫、原発性縦隔大細胞型B 細胞リンパ腫、形質転換濾胞性リンパ腫、高悪性度B 細胞リンパ腫)。ただし、CD19 抗原を標的としたキメラ抗原受容体発現T 細胞輸注療法の治療歴がない患者に限る」以外の部分を削除する。
第一三共、米カイト・ファーマ社、ギリアド・サイエンシズ日本法人は12月8日、第一三共がカイトから導入したイエスカルタ点滴静注の日本における開発、製造、販売の独占的実施権を返還し、同製品の製造販売承認は23年中にギリアド日本法人に承継することで合意したと発表している。