科研製薬が11月8日発表した2022年度第2四半期決算は、売上高が2.0％減の368億1900万円、営業利益が9.2％減の82億900万円と減収減益だった。主力2品の爪白癬治療薬クレナフィンと関節機能改善剤アルツは数量ベースでは伸長したものの、薬価改定の影響で売上が減少した。堀内裕之代表取締役社長は9日の決算説明会で、薬価改定の影響が減収の最大の要因になったと説明。減収に加えて、研究開発パイプラインの強化や後期開発品の開発進展に伴う研究開発費の増加が減益要因になったとした。

◎原発性腋窩多汗症治療薬エクロックは47.8%増「疾患認知活動が一定の成果」

同社の22年4月の薬価改定影響率は全体で約６％だった。22年度中間期の主力2品の売上を見ると、3.48%の薬価引き下げを受けたクレナフィンは1.6％減の96億3300万円、長期収載品（G2）で12.58％の薬価引き下げを受けたアルツは9.1%減の86億7300万円となった。一方、20年11月発売の原発性腋窩多汗症治療薬エクロックは、47.8%増の8億2300万円を売り上げた。松浦真洋取締役は「疾患認知活動が一定の成果を上げた。競合品の発売（5月発売のマルホのラピフォート）で市場が活性化したことも要因となっており、2社の活動で市場が拡大していくと考えている」と述べた。

22年度通期業績予想は、売上高が0.5%増の764億円、営業利益が12.1％減の150億円など、売上・各利益とも期初予想を据え置いた。個別製品では、クレナフィンを期初予想の181億円から183億円へ2億円、アルツを175億円から176億円へ1億円引き上げた。一方、エクロックは20億円から16億円へ4億円引き下げた。松浦取締役は「新型コロナによる受診抑制の影響があり、上期の計画と実績に乖離があったため」と説明。エクロックの営業戦略について堀内社長は「日頃受診している「かかりつけ医」であれば、患者はより相談しやすいことから、幅広い診療科での取り組みに再度注力していきたい」と述べ、皮膚科に加え、内科や産婦人科などでのMR活動をいっそう強化していく考えを示した。

◎アーサム社買収により獲得した開発2品　今年度中のP２終了目指す

研究開発面では、国内創薬バイオベンチャーのアーサム社買収により獲得した、いずれも第2相試験段階のART-001（適応症：難治性脈管奇形）およびART-648（水疱性類天疱瘡）について、綿貫充執行役員研究開発本部長は「今年度の第2相試験終了を目標に進めている」と説明した。ニューマブ セラピューティクス社から導入し、アトピー性皮膚炎を対象疾患として第1相試験準備中の「NM26-2198」については、「IL-4、IL-13及びIL-31のシグナル伝達を阻害する二重特異性抗体であり、炎症と痒みの両方を抑えることをコンセプトとしている」と説明した。なお、IL-4、IL-13のシグナル伝達を阻害する薬剤にはデュピルマブ（販売名：デュピクセント）が、IL-31のシグナル伝達を阻害する薬剤にはネモリズマブ（同：ミチーガ）がある。

【連結業績 （前年同期比）22年度予想（前期比）】
売上高　368億1900万円 （2.0％減）764億円（0.5％増）
営業利益　82億900万円（9.2％減）150億円（12.1％減）
親会社帰属純利益　59億6400万円（11.3％減）120億円（25.7％増）

【国内主要製品売上高（前年同期実績）22年度予想、億円】
クレナフィン　96.33（97.95）183←修正前181
アルツ　86.73（95.36）176←修正前175
セプラフィルム　40.14（42.45 ）86←修正前89
フィブラストスプレー　13.78（13.70）29←修正前28
エブランチル　9.43（9.73）20
エクロックゲル　8.23（5.57）16←修正前20
リグロス　4.44（4.27）10
ヘルニコア　2.09（2.01）５←修正前４
ジェネリック合計　41.90（44.12）93←修正前95