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GE薬協・高田会長 「不採算品再算定の運用見直しなど“薬価上の下支え”」要望 物価高騰で

公開日時 2022/10/27 05:00
物価・エネルギー価格の高騰が深刻な影響を及ぼすなかで、日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)の高田浩樹会長は10月26日の中医協薬価専門部会で、不採算品再算定の運用見直しなどを引き合いに、「(2023年度改定で)薬価上の下支えをご検討いただけると、大変ありがたい」と要望した。高田会長は原価率が80%超となる後発品が約3割とのデータを示し、これらの品目が不採算に陥っていると説明した。原薬の約半数を海外から輸入していることから、物価・エネルギー価格の高騰に加え、円安の影響が直撃しており、安定供給への影響も懸念されている。

◎後発品の3割が不採算に 物価・エネルギー価格高騰で安定供給への影響懸念も


高田会長は、GE薬協加盟企業30社の状況として、後発品全体で製造原価が薬価の80%超となる品目が後発品全体で3割以上を占めているとのデータを提示(関連記事)。基礎的医薬品のうち、2割が原価率80%超になっていると説明した。そのうえで、「製造原価が薬価から80%を超える品目については、消費税10%、販売管理費、卸への費用含めると薬価を超える水準となり、明らかに不採算となる。製造原価が薬価の60%以上の品目についても、原材料高騰の影響や今後の薬価改定による不採算となる可能性が高い品目であり、これら医療上の必要性の高い医薬品の安定供給への影響が懸念される」と危機感を露わにした。

原薬の約半数は海外から輸入していることも説明し、「原薬メーカーにおける調達コストや製造コストなど様々な要因を理由として、価格上昇が顕在化してきている」と続けた。エネルギー価格の高騰についても、個社の事例として、「水道・光熱費が前年度比で使用量2%増に対し、金額として140%増。対売上で0.7ポイント上昇しており、さらなる増加が懸念される」ことも紹介した。

◎「2023年度に薬価引き下げを受け入れる状況にない」

高田会長は、「暦年の薬価改定の影響もあり、会員企業30社の後発医薬品の3割が不採算に陥っている状況が明らかとなった。現在の安定供給の状況を踏まえ、今後も持続的な安定確保に向けて取り組むべき課題が多いなかにあって、直近の原材料価格や光熱費の高騰、円安等の影響等も鑑みれば、2023年度に薬価引き下げを受け入れる状況にはないと考えている」と述べた。

安定供給に向けて必要な薬価上の下支えを問われ、「現在一時的に非常に物価高エネルギー価格の上昇ということもあるので、そのなかで薬価上の下支えをご検討いただけると大変ありがたい」と述べた。具体的には、「不採算品再算定もあるが、不採算品目が多くなっているなかで、このような制度の使い勝手の見直しということも必要なのではないか。また医療上必要性の高い安定確保医薬品等の薬価上の下支えの措置もご検討できるご検討いただければありがたい」と要望した。

不採算品再算定は、薬価改定において、不採算品目のうち代替薬がない等の理由により、医療上の必要性が特に高い医薬品に限り、薬価を引き上げる制度。同一組成、剤形、規格の製品が複数ある場合には、その全てが不採算になっていないと適用ができないことや、原価計算方式で最も低い額で算定がされるため、企業によっては不採算が解消されないことなどが課題として指摘されている。

◎日薬連・眞鍋会長 価格転嫁難しい医薬品産業の“特殊性”に理解を

日本製薬団体連合会(日薬連)の眞鍋淳会長も、「物価の上昇や円安の影響を考慮し、原価率が悪化している品目などにつきましては、中間年改定の実施とは別に薬価を引き上げる措置を実施すべき」と主張した。

一般消費財では物価・エネルギー価格の高騰を転嫁するなどの対応が取られているが、「医薬品は一般的な消費財などと異なり、その特性のため、製造過程における効率化、製品への価格転嫁、製造供給量の調整といった対策を柔軟に行うことはできない」と説明。「医薬品の製造が薬機法に則り、承認書に記載された製造方法、製造場所にて承認書に規定された原材料・資材を用い、製造し、承認規格を満たす必要があることから、製造の効率化を柔軟に実施できない。さらに価格への転嫁や製造量の調整も困難であることから、医薬品の特性として、原材料費などの高騰への対応が大変難しい」と述べ、医薬品産業の特殊性に理解を求めた。

◎卸連・鈴木会長「供給不安生じている品目や不採算品目は改定から除外を」

日本医薬品卸売業連合会(卸連)の鈴木賢会長 は、「中間年の薬価改定について中間年で薬価改定は薬価の下落スピードを加速させ、流通当事者の経営基盤を脆弱にすることから、医薬品の続的な安定供給にとって重大なリスクとなっている」との見解を表明。「流通当事者は毎年の薬価改定に伴う薬価改定などに大変な労力を費やしている。薬価が定められた多くの医薬品について、毎年薬価を改定することが医薬品の安定供給の観点から、本当に合理的なものなのか。医薬品卸関係者の多くは根本的な疑問を持っている」と述べた。

そのうえで、「医薬品の安定供給の観点からすれば、例えば医療上必要性が高いにもかかわらず、現に不足が生じている、今後不足が生じる恐れがある、あるいは低薬価品などの不採算となっている医薬品については対象から除外することを検討していただきたい」と要望した。


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