日本ケミファ・山口社長 グループ全体の品質保証レベル引上げ 工場従業員やMRの教育再徹底
公開日時 2022/07/04 04:50
日本ケミファの山口一城社長は7月1日、専門誌・紙を対象とした記者懇談会で、「グループ全体の品質保証レベルの更なる引き上げ」に注力していることを明らかにした。4月にはグループ品質保証統括部を設置し、グループ品質方針を策定した。一方で他社製品の自主回収に伴う代替需要が求められるケースがあるとし、工場従業員やMRを対象とした社員研修を通じ、品質やレギュレーションについて再徹底していると強調。「本当に大変な努力をして対応している状況」と話した。
記者懇談会では、工藤伸一・グループ医薬営業本部長兼日本薬品工業社長が、相次ぐ後発品の自主回収や供給不安への同社の対応について説明した。工藤医薬営業本部長は、「(医薬品卸の)MSがずいぶん苦労している。弊社MRと連携した形で、しっかり得意先に対応していきたい」と説明。「MRに対しては得意先の要望をしっかり聞き、応えていくことを徹底教育している」と強調した。また、「今の供給不安が続く中でMRの役割は非常に重要になっている」と述べ、改めてMRによる顧客とのコミュニケーションが後発品の信頼回復に不可欠との認識を表明。この取り組みを通じてMR不要論を払拭したい考えを滲ませた。
◎フェブリク後発品のOD錠 7月8日発売予定 「安定供給をしっかり果たすこと第一に」
この日は、高尿酸血症治療薬・フェブキソスタットのOD錠を7月8日に発売する方針も明示した。先発品のフェブリクや、第一三共エスファが手掛けるフェブリクAGにOD錠はなく、数社の後発品にOD錠がラインナップされている。山口社長は、「フェブキソスタットOD錠は当社の特色ある製品になり得る」と高付加価値製品であることを紹介し、「安定供給をしっかり果たしていくことを第一に、しっかりシェアを取っていきたい」と意欲を示した。
◎収益確保へ ベトナム工場での生産品目拡大、良質廉価な原薬確保も
一方、毎年薬価改定を視野に、収益確保に向けて原価低減に努める意向も示した。具体的には、現在7品目を製造するベトナム工場で生産品目の拡大を図る方か、改めて良質廉価な原薬の調査・確保に努める方針を示した。また、「毎年薬価改定に耐え得る仕切価の設定や、卸と協力した上でのマージン体系など、このような努力も今年度からしていく」とも述べた。
◎膵臓がん、NSCLCの新薬 25~26年度の承認・上市を期待
同社は、後発品事業と臨床検査薬で収益基盤を強化しながら、中長期の成長に向けて新薬開発や経口アルカリ性化剤による慢性腎臓病(CKD)関連適応の研究開発を進めている。このうち新薬開発では、パートナー企業のDelta-Fly Pharmaが開発し、日本ケミファが国内独占販売権を持つ▽膵臓がんを対象疾患とするがん微小環境改善薬「DFP‐17729」▽ステージ3/4の非小細胞肺がん(NSCLC)を対象疾患とする抗がん剤「DFP-14323」――について、日本ケミファは現時点ではそれぞれ2025年~26年の承認取得・上市を期待している。
DFP-17729は21年11月にフェーズ2の症例登録が完了し、現在、試験結果を分析中。山口社長は、「年内に今後の開発スケジュールがよりはっきりする」との認識を示した。なお、非臨床試験では、既存の化学療法剤との併用で抗腫瘍効果が認められている。
DFP-14323は、免疫担当細胞表面に存在するアミノペプチダーゼに結合することにより非特異的な免疫賦活作用を発現するもの。がん患者の免疫応答を強め、標準的な抗がん剤と併用しても副作用を増強することなく効果を高めることが期待されるという。既にフェーズ2が終了し、22年度中にフェーズ3に進む見通しになっている。