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カナグルの2型糖尿病合併CKDの追加、初のCAD薬・エジャイモなど7製品の承認了承 薬食審・第一部会

公開日時 2022/06/03 04:52
厚生労働省の薬食審医薬品第一部会は6月2日、SGLT2阻害薬・カナグル錠の「2型糖尿病を合併する慢性腎臓病」の効能追加など7製品の承認を了承した。サノフィが承認申請した国内初の寒冷凝集素症治療薬・エジャイモ点滴静注(一般名:スチムリマブ(遺伝子組換え))も含まれる。7製品は6月中に正式承認される見通し。なお、この日、報告品目はなかった。

【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)

エジャイモ点滴静注1.1g(スチムリマブ(遺伝子組換え)、サノフィ):「寒冷凝集素症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

ヒト化IgG4モノクローナル抗体。古典的補体経路の特異的セリンプロテアーゼである補体第1成分sサブコンポーネント(C1s)と結合することにより、古典的補体経路の活性化を阻害し、寒冷凝集素症(CAD)における溶血を抑制する。同剤は国内初のCAD治療薬。

用法・用量は、「通常、成人にはスチムリマブ(遺伝子組換え)として、1回6.5g又は7.5gを点滴静注する。初回投与後は、1週後に投与し、以後2週間の間隔で投与する」

CADは重篤な慢性希少血液疾患で、補体経路とよばれる体の免疫系の一部が自己の正常な赤血球を誤って破壊する。慢性的な貧血や消耗性疲労があり、溶血性発作や生活の質(QOL)の低下がみられる。また、血栓塞栓症や若年死のリスクが上昇するという。

カナグル錠100mg(カナグリフロジン水和物、田辺三菱製薬):「2型糖尿病を合併する慢性腎臓病。ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は4年

SGLT2阻害薬。同じクラスのフォシーガは「慢性腎臓病(CKD)」の適応を有するが、カナグルは2型糖尿病患者のCKDに関する適応となる。用法・用量は、既承認の「2型糖尿病」と同じ。

CKDは何らかの原因によって腎臓の機能が低下する状態で、国内患者数は成人の8人に1人、約1330万人と推定されている。2型糖尿病はCKDの発症、進展の大きなリスク因子で、2型糖尿病を伴うCKDの対策は、患者のQOLや医療経済的な観点からも重要な課題になっている。

ボックスゾゴ皮下注用(ボソリチド(遺伝子組換え)、BioMarin Pharmaceutical Japan):「骨端線閉鎖を伴わない軟骨無形成症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

C型ナトリウム利尿ペプチド類縁体。軟骨無形成症(ACH)患者では、線維芽細胞増殖因子受容体3型遺伝子(FGFR3)の機能獲得変異によって、骨組織の形成に欠かせない軟骨内骨化が負の調節を受ける。同剤はC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)類縁体で、FGFR3シグナル伝達を下方制御して正の調節を行った結果として、軟骨内骨化を促進する。

用法・用量は、「通常、ボソリチド(遺伝子組換え)として、2歳以上の患者には15μg/kgを、2歳未満の患者には30μg/kgを1日1回、皮下注射する」

エパデールEMカプセル2g(イコサペント酸エチル、持田製薬):「高脂血症」を効能・効果とする新剤形医薬品。再審査期間は4年。

高純度EPA製剤。イコサペント酸エチルに乳化剤を含めて消化管で吸収されやすく工夫したもので、1日1回の食直後の経口投与で用いる。主成分は同社が製造販売するエパデールと同じだが、エパデールは高脂血症に対して1日2回または3回投与で用いる。

イグザレルト錠2.5mg(リバーロキサバン、バイエル薬品):「下肢血行再建術施行後の末梢動脈疾患患者における血栓・塞栓形成の抑制」を効能・効果とする新効能・新用量・剤形追加に係る医薬品。再審査期間は4年。

選択的直接作用型第Xa因子阻害薬。今回の末梢動脈疾患(PAD)に係る新効能に合わせて、新たに2.5mg錠を追加する。用法・用量は、「通常、成人にはリバーロキサバンとして2.5mgを1日2回経口投与する」となる。

なお、2.5mg錠は、既承認の10mg製剤、15mg製剤、ドライシロップの効能・効果には使えない。既承認の10mg製剤なども今回のPADに係る適応に使えない。

PADは、下肢動脈の進行性アテローム硬化性閉塞であり、塞栓症や血栓形成リスクを伴う。下肢血行再建術施行後のPAD患者は、進行したアテローム動脈硬化性疾患の病態であることに加え、下肢血行再建術自体が血栓塞栓症リスクの増加に寄与すると考えられており、血栓性血管イベントの発現リスクが高い。

末梢閉塞性動脈疾患の治療ガイドライン(2015年改訂版)では、PAD に対して、脳心血管イベント発現抑制を目的にアスピリン又はクロピドグレル硫酸塩単剤、脳卒中の二次予防を目的にシロスタゾールがそれぞれ推奨されているが、抗凝固療法に関する記載はなく、下肢血行再建術施行後の薬物療法については詳細に言及されていない。

リツキサン点滴静注100mg、同500mg(リツキシマブ(遺伝子組換え)、全薬工業):「視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

抗CD20モノクローナル抗体。視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)は、視神経と脊髄の炎症性病変を特徴とする中枢神経系の自己免疫疾患で、国の指定難病の一つ。国内の患者数は約4300人で、約9割を女性が占めるとされる。永続的な神経障害により、生涯にわたり著しい生活の質の低下が生じるといわれている。患者の多くは症状を繰り返す再発経過をたどり、神経の損傷や障害が蓄積され、視覚障害や運動機能障害、疼痛などが現れるほか、症状の発生が致死的な結果となる場合もある。

ベオビュ硝子体内注射用キット120mg/mL(ブロルシズマブ(遺伝子組換え)、ノバルティスファーマ):「糖尿病黄斑浮腫」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(2028年3月24日まで)。

眼科用VEGF阻害薬。糖尿病性黄斑浮腫(DME)の用法・用量は、「ブロルシズマブ(遺伝子組換え)として6mg(0.05mL)を6週ごとに1回、連続5回(導入期)硝子体内投与するが、症状により投与回数を適宜減じる。その後の維持期においては、通常、12週ごとに1回、硝子体内投与する。なお、症状により投与間隔を適宜調節するが、8週以上あけること」――。既承認の「中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性」とは導入期の用法・用量が異なるが、維持期は同じ。

糖尿病に伴う高血糖により、眼の中の細い血管が傷つけられ、滲出液が生じる場合がある。この損傷により、血管内皮増殖因子(VEGF)が過剰に産生される。VEGFは血管の成長を促す蛋白質で、DME患者のVEGF濃度が上昇すると、漏出性のある異常な血管の増殖が誘発される。黄斑部における滲出液の蓄積(浮腫)は疾患活動性の重要なマーカーであり、視力喪失の原因になり得る。

DMEは先進国における成人の失明原因の第1位で、1型糖尿病患者の12%、2型糖尿病患者の28%が罹患しているとされる。
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