富士フイルム ペプチドリームへの放射性医薬品事業の譲渡契約変更
公開日時 2022/03/23 04:50
富士フイルムは3月22日、連結子会社の富士フイルム富山化学の放射性医薬品事業をペプチドリーム社に譲渡する契約の一部を変更すると発表した。ペプチドリームに譲渡予定だった放射性医薬品・ルタテラ静注とライザケア輸液の国内販売権について、富士フイルム富山化学から導入元であるノバルティスグループのAdvanced Accelerator Applications International社(以下、AAA社)に返還することが決定。これに伴い、富士フイルムがペプチドリームから受領する契約一時金が当初の305億円から221億円に減額することになった。ただ、富士フイルムはAAA社から権利返還に伴う対価(金額は非開示)を受け取ることになった。
富士フイルムとペプチドリームは2021年9月、富士フイルムが設立した放射性医薬品新会社に放射性医薬品事業を承継し、この新会社の全株式をペプチドリームに譲渡する契約を締結した。新会社の社名は「PDRファーマ」で、22年3月28日付で株式譲渡を完了させる予定。
株式譲渡に向けて準備を進める中で、ルタテラの導入元であるAAA社やペプチドリームなどと今後の国内展開を協議した結果、富士フイルム富山化学が保有する国内販売権などをAAA社に返還することで合意。さらに、▽富士フイルム富山化学▽AAA社▽ノバルティス日本法人▽PDRファーマ――の4社間で新たなライセンス契約を締結した。
この新契約により、両剤の国内販売権などが当初の譲渡契約から除外されたたため、契約一時金が減額となり、マイルストーンも条件変更に伴い減額となった。
◎PDRファーマ ルタテラとライザケア「当面はノバルティス日本法人と共同で販売」
一方で、ペプチドリームは、新契約及び同時に締結されたAAA社との業務委託契約のもと、PDRファーマがルタテラとライザケアの輸入手続き、国内での包装、物流などの業務を提供し、対価(金額は非開示)を受け取ることになった。ペプチドリームは本誌取材に、「ルタテラとライザケアは当面、PDRファーマとノバルティス日本法人が共同で販売する」と説明した。
ペプチドリームは今回の契約変更に伴う業績への影響ついて、「PDRファーマがルタテラ・ライザケアの国内販売権等を承継する場合に予定していたルタテラ・ライザケアの国内販売に係る売上、売上原価、販売管理費等が消失する。一方、当初予定していなかった業務委託の対価を別途受領することから、当面の業績に与える影響は軽微」としている。