富士フイルム 米バイオCDMO・FDB社に約1800億円を追加投資 抗体医薬の原薬製造ライン16基整備へ
公開日時 2024/04/15 04:52
富士フイルムは4月12日、バイオ医薬品CDMOの中核会社であるFUJIFILM Diosynth Biotechnologies(FDB社)の北米拠点に約1800億円の追加投資を行うと発表した。FDB社が現在建設中の米・ノースカロライナ新拠点に新たな設備投資を行い、抗体医薬品の原薬製造設備を大幅増強することが目的。最終的には2万リットルの動物細胞培養タンクを合計16基(32万リットル)増設する計画。北米のバイオCDMO製造拠点として最大級の原薬生産能力を有することになる。増強設備の稼働は2028年を予定している。
抗体医薬品市場は、抗体薬物複合体(ADC)や、バイスペシフィック抗体を用いた次世代型の需要拡大も加わり、年率8%で成長することが見込まれている。このため同社は、2025年の稼働を目指し、約2000億円(20億ドル)超を投じて抗体医薬品の生産能力の大幅増強に向けて2万リットルの動物細胞培養タンク(8基)の設備投資を進めている。
◎ノースカロライナ新拠点への合計投資額は約3800億円規模
今回の約1800億円(12億ドル)の追加投資は、新たに2万リットルの動物細胞培養タンク(8基)を追加増設するというもので、これにより2028年にはノースカロライナ新拠点に合計16基の原薬製造ラインが整い、抗体医薬品の原薬の生産能力を大幅に増強することができる。同社によるノースカロライナ新拠点への合計投資額は約3800億円規模となる。
このほか、ノースカロライナ新拠点は、全自動型製剤製造システムや、多品種のシリンジ用デバイスの組立が可能な機器や自動ラベル貼付・梱包装置などの導入を2025年までに行う方針で、原薬製造から製剤化・包装までを一貫して受託できる拠点とする。このほか新規雇用人数として、2028年までに725人、2031年までに680人を採用する計画も公表した。
さらに、新拠点で使用する全てのエネルギーを再生可能天然ガスや敷地内の太陽光発電を利用、バーチャルPPA導入による12.5万MWh/年の再エネ電力証書の購入で相殺し、実質的にCO2排出ゼロを実現したい考え。