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オンライン診療の市場インパクト 2035年までに100億円超市場に 在宅診療のIoT機器含め更なる成長も

公開日時 2022/02/07 04:51

2022年度診療報酬改定でオンライン診療の「初診料・再診料」が評価されたことで、デジタルヘルス市場の成長インパクトに熱い視線が注がれている。富士経済によると、医療プラットフォーム市場におけるオンライン医療の規模は2035年に3.3倍(対20年比)の106億円に成長すると予測した。将来的にはウェアラブル端末など在宅診療関連のIoT機器を活用した診療行為が増えると見込み、今後のデジタルヘルス市場を牽引するとの見方が早くも広がっている。

政府は、コロナ禍の臨時的・特例的な措置として「オンライン診療料」を設定し、自宅療養するコロナ患者等への対応や、一般診療を受診する患者の感染リスクを回避する目的でオンライン診療の活用を呼び掛けてきた。ただ、実際の普及率は15%程度にとどまり、菅政権時代に掲げた「オンライン診療の恒久化」に向けた議論を岸田政権が受け継ぐ格好で議論が行われていた。

22年度診療報酬改定で厚労省は情報通信機器を用いたオンライン診療の「初診料」、「再診料」を設定する。点数は、対面の初診料(288点)とオンライン診療料(214点)の中間に設定される見通し。また、オンライン診療の実施に際しては、医療機関と患者との間の時間・距離要件や、オンライン診療の実施割合の上限については要件として設定しないことが適切との判断(公益裁定)がなされており、運用上の制約は一定程度改善されたといえる。

◎オンライン診療の普及は在宅医療のデジタル化を促進する

こうした状況にデジタルヘルスの市場関係者が早くも反応している。100%オンライン診療で対応する医療機関は無いものの、今回の改定によりオンラインと対面の組み合わせを考える医療機関が増えるとみている。特に、働きながら定期受診するサラリーマンや、育児中の母親、さらには距離的要件の撤廃により、希少疾患や難病などを診る専門医がオンライン診療を活用するとの見方がある。さらに、オンライン診療が浸透することに伴い、在宅患者とかかりつけ医をサポートする治療アプリや、遠隔聴診器やバイタル情報を逐次モニタリングするデバイスの普及も想定される。市場規模については、2035年までに100億円を超える(富士経済)との予測もあるが、オンライン診療と組みあわせて使用する在宅診療関連のIoT機器と合わせると、市場規模は倍以上のサイズに拡大するとの期待感も示されている。

◎製薬企業 DCT普及への期待 治療アプリなど患者サポートツール活用も

一方で製薬産業にとっても、DCT(分散化臨床試験)と呼ばれるリモート治験が今後普及するとして注目されている。すでに欧米などで実施するグローバル試験は、患者の利便性を考慮してリモートで行う試験デザインが導入されており、日本での臨床試験にも導入される可能性は高い。一方、上市後の新薬情報を提供するMR活動においても、オンライン診療を前提とした治療アプリやePROを使ったアドヒアランスの向上や安全対策、さらには患者アウトカムの向上を目指す取り組みなどへの展開も予想されるところ。オンライン診療の普及による患者の受療行動の変化を見越したビジネス・トランスフォーメーションが各所に求められることになりそうだ。




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