薬食審・第二部会 5~11歳用新型コロナワクチンの特例承認了承 アクテムラのコロナ肺炎の追加も
公開日時 2022/01/20 22:45
厚生労働省の薬食審・医薬品第二部会は1月20日、ファイザーが申請した5~11歳用の新型コロナワクチン「コミナティ筋注5~11歳用」を特例承認することを了承した。正式に承認されれば、初の12歳未満を対象とした新型コロナワクチンとなる。また、中外製薬のアクテムラ点滴静注用に新型コロナによる肺炎の効能を追加することも部会に報告し、承認が了承された。酸素投与を必要とする中等症II以上の患者に対する新たな治療選択肢となる。
厚労省は両剤とも、早ければ21日に薬事承認する。コミナティ筋注5~11歳用は1月26日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で、公費接種の対象に含めるか、接種開始時期や優先順位などについて審議する予定。
◎5~11歳用ワクチン 有効成分は12歳以上用の3分の1に
コミナティ筋注5~11歳用(一般名:コロナウイルス修飾ウリジンRNA ワクチン(SARS-CoV-2))は小児専用製剤。1回量を正確に採取できるよう小児専用製剤として開発し、その濃度は12歳以上用の「コミナティ筋注」の半分に調整されている。
効能・効果は「SARS-CoV-2による感染症の予防」で、用法・用量は「本剤を日局生理食塩液1.3 mLにて希釈する。1回0.2 mLを合計2回、通常、3週間の間隔で筋肉内に接種する」。効能・効果や、接種回数、接種間隔は12歳以上と同様。ただ、12歳以上用は日局生理食塩液1.8mLで希釈して、「1回0.3mL」を接種する。
5~11歳用の有効成分量は10μgで、12歳以上用(30μg)の3分の1となる。
◎臨床試験では「16~25歳」への非劣性を確認
臨床試験では5~11歳用の有効性について、2回目接種1か月後の中和抗体価が1197.6で、16~25歳(1146.5)に対する非劣性が示された。事後解析によると、2回目接種後7日以降の発症予防効果は90.7%だった。
部会では、感染が急拡大しているオミクロン株に対する有効性についての質問があがり、ファイザーとPMDAは、「抗体価は従来株に比べて弱い可能性があるが、一定の発症予防効果、重症化予防効果は期待される」との見解を示したという。
◎厚労省・吉田審査課長「小児でも基礎疾患ある場合は重症化リスクも」
厚労省の吉田易範・医薬品審査管理課長は部会後の記者説明会で、「(部会で)小児においても、特に基礎疾患がある場合は重症化する危険性がある。5~11歳向けの小児用ワクチンが使えるようになるのは非常にメリットがあるとの議論がなされた」、「心筋炎も許容できないリスクではないということで、特に免疫が落ちている患者に対する重症化予防のリスク/ベネフィットを考えると、小児用ワクチンを使う価値があるとの議論があった」と説明した。
安全性について同省は、「12歳以上用と比較して、(副反応の発現率が)著しく高い項目はない」と説明した。
部会ではまた、国民に正しい有効性・安全性に関する情報提供を行うべきとの意見が出され、「製薬企業だけでなく、国としてもしっかり情報提供を行う」必要性も指摘された。
◎アクテムラ 投与対象は新型コロナの中等症II~重症患者 ステロイドの併用下で
中外製薬の抗IL-6受容体モノクローナル抗体アクテムラ点滴静注用80mg・200mg・400mg(一般名:トシリズマブ(遺伝子組換え))に、「SARS-CoV-2 による肺炎(ただし、酸素投与を要する患者に限る)」の効能・効果を追加することも了承された。新型コロナの中等症II~重症の患者が投与対象となる。
副腎皮質ステロイドの併用下で、トシリズマブとして1回8mg/kgを投与する。症状が改善しない場合には、初回投与終了から8時間以上の間隔をあけて、トシリズマブとして8mg/kgを1回追加投与することも可能とした。
IL-6は炎症時の急性期反応などに関わるサイトカイン。新型コロナ患者の一部では、IL-6を含む複数のサイトカインの発現亢進を特徴とする炎症状態により呼吸不全を起こすことが知られており、同剤投与により炎症抑制を期待する。