武田薬品・ウェバー社長 21年度の売上収益成長予想プラス14~16% グローバル14製品が業績を牽引
公開日時 2022/01/12 04:52
武田薬品のクリストフ・ウェバー社長CEOは1月11日開催の「第40回J.P.モルガン・ヘルスケア・カンファレンス」で、グローバルブランド14製品の成長により2021年度の売上収益成長予想は14~16%の達成に向けて順調に進捗していると強調した。中期的にはトップラインの成長、競争力ある利益率、力強いキャッシュフローの推進に引き続き寄与すると指摘。EXKIVITYやLIVTENCITYなどの新薬が2025年度までの成長を牽引すると見通し、これらの継続的な市場浸透や採用国の拡大などで約5000億円(45億USドル)の売上収益に寄与すると確信していると強調した。
◎Core売上収益全体に占めるグローバル14製品割合は約45%に上昇
ウェバー社長は、グローバルブランド14製品の中期的な成長に自信を深めた。Core売上収益全体に占めるグローバルブランド14製品の割合は、2019年度の34%から20年度は38%に上昇、さらに21年度は約45%を占めると強調。これにより20年度の約110億USドルをさらに14~16%成長させると見通した。
◎EXKIVITY、LIVTENCITYなどの新薬 2025年で5000億円見込む
一方で中期的には、「25年度以降も約40の新規候補物質で構成する多様性の高いパイプラインが成長を牽引する」と述べ、「今後数年間で数多くの薬事承認を取得 することが見込まれ、長期的な売上成長の見通しを支える」との見解を示した。とくに期待を寄せる新薬がある。一つは、EGFRエクソン20挿入変異を有する非小細胞肺がんを標的とした初めてかつ唯一の経口治療薬「EXKIVITY」、もう一つが移植後CMV感染の治療成功を再定義する可能性のある「LIVTENCITY」だ。EXKIVITYは米国で昨年9月に承認され、LIVTENCITYも昨年11月に承認された。これら新薬の売上収益は2025年で5000億円を見込んでいる。ウェバー社長は、売上収益の増加分について、継続的な市場浸透、市場規模の拡大、新規効能および日本や中国などの新興国を含む地理的拡大により達成するとの方針を表明した。
◎エンタイビオ データ保護期間満了のタイミングでバイオシミラーの参入見込まず
潰瘍性大腸炎治療薬エンタイビオについてウェバー社長は、「データ保護期間満了のタイミングでバイオシミラーの参入を見込まない」と述べた。データ保護期間満了の予想時期について同社は、欧州は24年5月、米国は26年5月としていたが、「製剤、用法用量、製造法など、エンタイビオのさまざまな側面にかかる特許を取得しており、それらの特許は米国において2032年に満了する予定」と説明。「2032年以前に上市を試みるバイオシミラーは、全ての関連特許の侵害の可能性、もしくはそれら特許の法的な有効性の確認が必要」だとした。武田薬品は、現在までに進行中のバイオシミラーの臨床試験は確認していないとしながらも、米国ではFDAが関連するaBLA(簡易生物製剤承認申請)を受理することでバイオシミラーに対する訴訟手続きが開始されるとの見解を示している。