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財務省 コロナ患者受入れた国病機構94病院 補助金支給は平均10.1億円 収支改善の実態明らかに

公開日時 2021/10/12 04:52
財務省は10月11日の財政制度等審議会財政制度分科会に新型コロナ関連補助金と2020年度の医療機関収支分析データを提示した。国立病院機構140病院中、新型コロナ患者の受入れは94病院あり、新型コロナ関係補助金は1施設当たり平均10.1億円が投入された。その結果、施設当たり収支は19年度に比べて6.3億円増の6.4億円の改善があった。1施設当たり補助金最高額は14.8億円。新型コロナ患者1人あたりの補助金が5916万円に達した施設もあった。財政審は給付後の患者受入れ実績や費用対効果など効果検証すべきとの意見が相次いだ。

◎22年度予算編成に向けた議論本格化 新型コロナ関連補助金の支給と収支状況を報告

2022年度予算編成に向けて財政審での議論がスタートした。この日の財政制度分科会では、新型コロナ関係補助金の支給状況が報告された。21年度に新型コロナ患者を受入れた94病院が確保した病床数は2032床(1施設平均22床)。患者の受入総数は1万36人(1施設平均107人)だった。

新型コロナ受入病院94施設における新型コロナ関係補助金の総額は947億円(1施設平均10.1億円)で、患者1人あたりに換算すると944万円となる。94施設の収支状況の平均値をみると、診療業務は前年度(19年度)比3.7億円減の83.2億円で、診療業務費は前年度比0.1億円増の86.9億円となる。新型コロナ関係補助金を除く収支は、前年度比3.8億円減のマイナス3.7億円となった。これに対し、新型コロナ関係補助金の1施設平均10.1億円を上乗せすると、94病院の平均値は、前年度比6.3億円増の6.4億円の改善が見られた。

◎補助金支給の施設当たり最高額は14.8億円、患者1人当たり5916万円の施設も

新型コロナ関係補助金の支給上位医療機関をみると、補助金の支給額最高は14.8億円。同院の新型コロナ患者受入数は25人(新型コロナ病床数17床)、収支改善率は18.7%で、新型コロナ患者1人あたり補助金は5916万円だった。一方、収支改善率の最も高い医療機関は、関係補助金15.3億円が支給され、新型コロナ患者101人(新型コロナ病床16床)を受入れ、収支改善率は43.5%だった。

◎医療提供体制で有識者ヒアリング 「なんちゃって急性期病院の乱立」を指摘

この日は医療提供体制をめぐり有識者からヒアリングも行われた。グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンの渡辺幸子社長は、「なんちゃって急性期病院の乱立」を指摘。医療従事者を分散させ、低密度医療を招くなど「医療の質」に影響しているとの問題意識を表明した。その上で、経済的なインセンティブや強制力を発揮し、コロナ禍でも柔軟な対応を可能とする密度の高い医療提供体制の確保を求めた。

日本プライマリ・ケア連合学会の草場鉄周理事長は、コロナの自宅療養者に対する診療機関が当初なかったと指摘。第4波、第5波でようやく関与することができたとしながらも、「政府や医師会の呼びかけにも関わらず動いた医療機関は限定的であった」と述べ、プライマリ・ケアの限界を指摘した。その上で、有事に動けるプライマリ・ケアのシステムを背美する必要性を示し、これらを担う「かかりつけ総合医制度」の創設などを求めた。

◎一橋大・井伊教授 医療機関への新型コロナ関連補助金の「見える化」求める

一橋大学国際・公共政策大学院の井伊雅子教授は、医療機関に対する新型コロナ関連補助金の「見える化」を求めた。コロナ禍に限らず平時においても、全ての医療機関は財務諸表を作成し、迅速に公開すべきとした。また、今回の新型コロナ関係補助金の効果検証に向けた早期の体制整備を要請したほか、交付された補助金などを把握できる事業報告書の内容の精緻化にも取り組む必要性を強調した。
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