バイエル薬品とシミック 臨床試験の効率化と質向上でコラボ 電子お薬手帳の活用も
公開日時 2021/09/09 04:50
バイエル薬品は9月8日、シミックホールディングスとコラボし、循環器領域の臨床試験で、シミックのお薬手帳「harmo(ハルモ)」を活用した併用禁止薬の検知システムを稼働させたと発表した。システムの活用で、被験者の安全性を向上するとともに、併用禁止薬の見落としによる逸脱を未然に防止できるなど、臨床試験の質向上が期待できるとしている。両社は8月、デジタル技術などを活用した臨床試験の効率化と質の向上を目指す基本合意書を締結しており、取り組みはこの先駆けとなる。
今回スタートさせたのは、臨床試験中に服薬を禁止されている医薬品が処方されたことが電子お薬手帳に登録されると、CRCに速やかに通知し、安全管理を行うシステム。併用禁止薬の服用は、被験者の安全性への影響に加え、臨床試験のデータが評価に用いることができないことにつながる懸念もある。一方で、臨床試験中に服用禁止とされる医薬品の数も多く、CRC や被験者が把握し、マネジメントすることに負担がかかっているという。システムの活用により、自動で情報が入手できることで、見落としが減り、被験者の安全性が高まることにも期待を寄せる。取り組みは、8月から、医療機関3施設で実施している。
◎デジタル技術活用で臨床試験の効率化と質向上 両社が基本合意
両社は8月、デジタル技術などを活用した臨床試験の効率化と質の向上を目指す基本合意書を締結しており、取り組みはこの先駆けとなる。臨床試験が複雑化し、膨大なデータ量があるなど様々な課題があるなかで、新たなソリューションを活用することで、臨床試験の効率化と質向上につなげ、迅速な新薬開発を目指す。今後は両社で、共同研究や開発機会について協議し、中長期的なコラボレーションを展開するとしている。
シミックホールディングスの大石圭子代表取締役社長 COO は、「デジタル技術など新たな手段を用いた臨床試験の効率化・質の向上への取り組みは、製薬企業だけでなく、開発業務を受託する我々のような企業が協業することで、初めて実効性があるソリューションを迅速に生み出すことができると信じていり。今回のバイエル薬品との基本合意はその一歩として大変期待している」とコメントしている。
バイエル薬品研究開発本部クリニカルオペレーション部の山中雅仁部長は、「医薬品の開発において臨床試験は最も時間のかかるステップで、いち早く患者さんへ薬を届けるという製薬企業のミッションを果たすうえで、デジタル技術を柔軟に取り入れ、臨床試験を効率化していくことは非常に重要な取り組みだ。臨床試験の実施において多くの経験を有するシミックとの協業は、双方間の強みをかけあわせた新しい価値創出につながると確信している」としている。