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広島大学 クラウドファンディングで新型コロナ・次世代治療薬開発に挑戦 中和抗体の実用化を目指す

公開日時 2021/07/16 04:52
広島大学は7月15日、新型コロナウイルスの変異株を無⼒化する「中和抗体」の実用化に関する研究をクラウドファンディングで実施すると発表した。同大学大学院医系科学研究科免疫学研究室の保田朋波流教授は、すでに新型コロナウイルスに結合して無⼒化する中和抗体を10⽇間で作り出す技術を開発している。この技術を活かし、今回の研究では、中和抗体カクテルや、中和抗体を迅速に医薬品に応用する研究の費用をクラウドファンディングで調達するというもの。第一弾として7月15日~9月10日の期間に400万円の寄付を募集する。その後、600万円、1000万円と研究テーマに応じて寄付の募集金額を増やす計画だ。

保田教授らは、将来出現する変異ウイルスを中和する抗体を、あらかじめ作成できる技術を開発した。ただ、中和抗体薬の実⽤化には時間がかかることから、今後出現する変異ウイルスに対する中和抗体は今から取得しておく必要があるという。このため、今回は不特定多数の人々から少額の研究資金を調達し、研究を進めることに大学として挑戦することになった。

◎クラウドファンディングは3段階で実施 400万円、600万円、1000万円

具体的な研究テーマは、①新型コロナウイルス変異株に対する中和抗体を新たに取得し、先々の変異株にも対応する中和抗体カクテルを作り上げる、②中和抗体を迅速に医薬品化するための画期的な技術開発を進める―というもの。クラウドファンディングは3段階を想定した。第一段階の目標は400万円で、中和抗体の取得、中和抗体の評価に充てる。第2段階(21年~22年)の目標は600万円で、中和抗体のアミノ酸配列の解析や低分子抗体の作成・評価を予定する。第3段階(21年~23年)の目標は1000万円で、中和抗体のカクテルの作成・評価、中和抗体カクテルおよび分子抗体の早期医薬品化を目指した研究に充てる方針だ。なお、⽬標⾦額に到達しなかった場合、途中までの寄付も全て返⾦となる。

◎高額寄付の場合は、オンライン報告会に招待 免疫学研究室のHPに名前掲載も

寄付金額に応じたギフトも用意した。例えば3000円の寄付の場合は、お礼のメールと寄付金の領収書を発行する。1万円の寄付の場合は、これに加えて、研究結果の報告レポートの送付や免疫学研究室のホームページへの名前の掲載(希望者のみ)などを用意した。

一方、50万円~100万円という高額な寄付の場合は、オンライン報告会への招待のほかに、免疫学研究室のホームページへの名前の記載とバナーの掲載(希望企業・希望者)も行えるという。寄付はインターネット上から手続きができるようになっている。なお、寄付は税制優遇の対象にもなる。
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