MSD 経口新型コロナ薬molnupiravirの国際共同第3相試験 日本は6月23日から被験者登録開始
公開日時 2021/06/22 04:53
米メルクが現在実施している経口投与できる軽症から中等症の新型コロナウイルス感染症治療薬molnupiravir(一般名、開発コード:MK-4482)の国際共同第3相試験について、日本での被験者登録が6月23日から開始される予定だ。同試験の最終データは21年9月または10月に得られる見込み。良好な結果が得られた場合、米国での緊急使用許可の申請は、最も早くて21年後半になる見込みだとしている。
メルク日本法人のMSDの白沢博満・上級副社長(グローバル研究開発本部長)は4月の年次会見で、molnupiravirの開発に成功した場合、ワクチンによる予防と、同剤の経口投与による治療の組み合わせで、新型コロナが季節性インフルエンザと同様に扱える可能性があると期待を示していた。
◎初期症状示す新型コロナ患者に1日2回、5日間経口投与
molnupiravirは経口投与可能なリボヌクレオシドアナログ。新型コロナ感染症を引き起こすSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)など様々なRNAウイルスの複製を阻害するという。米バイオ医薬品企業のRidgeback Biotherapeutics社と共同開発している。
今回、日本も参加するmolnupiravirの国際共同第3相試験は「MOVe-OUT(Part2)」と呼称する。全世界で1550人の登録を目指すが、日本人の登録予定数は開示していない。
同試験は、新型コロナ感染症の確定診断を受け、初期症状を示す外来患者に対し、molnupiravir 800mgまたはプラセボを1日2回、5日間投与する。有効性の主要評価項目は、無作為化から29日目までに入院または死亡に至った患者の割合で、molnupiravirとプラセボで比較する。
同試験の登録対象は、18歳以上で過去5日以内に新型コロナ感染症を引き起こすウイルスの陽性が検査で確認され、重症化のリスク因子が1つ以上あり、発熱、咳、味覚、嗅覚の消失など新型コロナ感染症の徴候や症状が1つ以上あり、入院しておらず、入院の予定もない患者としている。
MSDの白沢上級副社長は4月の会見で、「まだ最終的な成績が得られているわけではないが、世の中の希望を含めて話したい」とした上で、同剤の開発に成功した場合の治療イメージとして、▽一般外来で迅速に検査・診断し、軽症のうちに外来で処方して在宅で5日間服薬する、▽感染性のあるウイルスは消失するため周囲の人への感染の最小化が期待できる――と紹介。画期的なワクチンによる予防と経口剤による治療の組み合わせで、「新型コロナが季節性インフルエンザと同様に扱えるようになり、(コロナ以前の)元の生活に戻っていけることを望んでいる」と話していた
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