21年5月の受診者数 前年同月比11%増 緊急事態宣言下の受診控えはやや緩和 JMIRI
公開日時 2021/06/21 04:50
東京都や大阪府などで3回目の緊急事態宣言が出された2021年5月の医療機関受診者は前年同月比で11%増、コロナ以前の19年5月と比べると11%減だった。これは調剤レセプトで実際の処方行動を把握・分析する医療情報総合研究所(通称:JMIRI、読み:ジェイミリ)のデータによるもの。20年5月は1回目の緊急事態宣言が発令され、未曽有の事態に外出自粛する人が多かった。21年5月は前年同月よりも受診者数は増えており、緊急事態宣言下での受診控えはやや緩和されたといえそうだ。ただ、コロナ以前まで受診者数が回復していないことも確認された。
緊急事態宣言実施区域に指定された東京都、京都府、大阪府、兵庫県の5月の受診動向をみると、4都府県とも前年同月から受診者数は増加していた。東京都は17%増、京都府は7%増、大阪府は11%増、兵庫県は10%増だった。
これをコロナ以前の19年5月と比較すると、大阪府は11%減となり、緊急事態宣言実施区域の中で最も減少率の低い地域だった。ちなみに東京都は16%減、京都府は18%減、兵庫県は14%――だった。JMIRIは、「大阪府は3月後半から新規感染者数の増加が始まり、5月にかけて新規感染者数の高止まりが続くなど、長期に渡って感染拡大の影響を受けた地域だが、医療機関の受診という側面での影響は他県と比べて大きかったという事実は見受けられなかった」としている。
◎コロナ以前と比べて小児科25%減 耳鼻科30%減 依然厳しく
全国の5月の受診動向を診療科別にみると、小児科は前年同月比で59%の大幅増となった。ただ、この大幅増は、小児科で20年5月に前年同月比50%以上の大幅減という受診抑制の影響を最も強く受けたことの反動でもある。同じく20年5月に受診抑制の影響が大きかった耳鼻咽喉科の21年5月の受診者数は前年同月比22%増となった。
これをコロナ以前の19年5月と比較すると小児科は25%減、耳鼻咽喉科は30%減で、依然として厳しい状況が続いている。
緊急事態宣言下に救命救急科の受診者数が減少する傾向がみられていたが、21年5月も19年5月比で31%減とすべての診療科の中で最も減少幅が大きかった。JMIRIは、「医療現場のひっ迫具合を反映した結果かもしれない」としている。