鈴木前医務技監 アウトカム支払方式導入なら「薬価もバリューベースド」 可変給付率の可能性に言及
公開日時 2021/06/10 04:52
鈴木康裕・前厚労省医務技監(国際医療福祉大学副学長、教授)は6月9日に開催した「第4回ヘルスケア・イノベーションフォーラム」終了後のオンライン会見で、「アウトカムベースの支払方式を導入する場合、薬価もバリューベースド(Value Based)になるのはご指摘の通りだ」と述べた。実際上は、「一つは費用対効果分析をしっかりやることが大事」と述べ、QALYなどの定量的指標で図ることが重要とした。ただ、「その先まで踏み込むかは決断が必要になる」と慎重に前置きした上で、フランスで導入されている可変給付率の可能性などに言及し、「将来的には検討する余地はあるのではないか」との認識を示した。
◎プログラム医療機器 “未病”領域は民間保険の適用「あり得る」
鈴木氏はまた、“ノン・ファーマシューティカル・インターベンション”などプログラム医療機器の保険上の取り扱いについて、「民間保険を適応するかについて、私はあり得る」との見方を示した。同氏は、「基本的には健康保険法の給付は疾病に対する給付に限定されているので、今でいえば“未病”の領域など、健康づくりや予防に対してプログラムで民間保険が出てくることは十分にあると思う」と述べた。
◎切れ味の良い超高額薬剤がでた時を想定して「様々な選択肢を考えておくべき」
また別の見方として、「当初は先進医療として指定しておいて、その部分は直接保険給付しない。しかしながら、厚労省が指定すれば、生損保で特約を結んでいる人は後で全額償還されるというような段階から始めてみる」というのも一考とした。さらに、「その効果が証明されて一定程度普及したら保険本体に取り入れるというやり方も将来あるのではないか」と強調した。さらに、「今後、ノン・ファーマシューティカル・インターベンションや、非常に切れ味の良い超高額の医薬品が出てきた時に、すぐに保険の給付対象にできない場合のことを考えて様々な選択肢を考えておくべきではないかと思う」との見解を示した。