コロナ禍でＭＲの活動評価を一部見直した製薬企業が54％（有効回答61社）に及ぶことがミクス編集部の調査で分かった。コロナ禍の「ＭＲ評価」（KPI）で重視する項目は、「売上目標に対する達成度」が回答企業の48％を占めトップ。次いで「リモート面談の回数（頻度）」が36％を占め、2位に入った。新型コロナに伴う病院の訪問自粛要請が長期化するなかで、MR活動がリアルからリモート（デジタル）に切り替わったことの影響がＭＲ評価に早速反映している。逆に「リアル面談の回数」を重視する企業は23％に低下。「製品コール数」も３割に止まった。

ミクス編集部は、コロナ禍でのＭＲ活動の変化を探る目的で、製薬企業各社にアンケート調査を実施。製薬企業61社から有効回答を得た。内訳をみると、先発系内資企業40社、外資系企業10社、後発品系企業11社。調査期間は4月23日～5月13日で、調査票を各社に配布・回収した。

昨年の新型コロナウイルス感染拡大以降、ＭＲ活動はWeb会議システムを用いた「リモート面談」や、Web講演会、自社サイト、医師の会員制サイト（３rd Party）等によるデジタルコンテンツとＭＲ活動を組み合わせたオムニチャネル型アプローチが盛んに行われるようになってきた。このため、20年1月以前のように、ＭＲのリアル面談や病院の廊下で医師を立ち待ちして情報提供する活動は激減し、逆に、メール、電話、手紙などで医師から事前のアポイントを取得し、リモートで面談する活動が主流となってきた。こうしたＭＲ活動の変化を捉え、ミクス編集部調査は、「ＭＲ評価」（KPI：Key Performance Indicator）について各社の考え方を聞いた。

◎先発系内資系企業の6割がMR評価を「一部見直し」　

コロナ禍における「MR評価」について、「一部見直した」企業は全体の54％を占め、「コロナ以前と変わらない」と回答した23％の企業を大きく上回った。回答の内訳をみると、「一部見直した」と回答した先発系内資企業は60％、後発品系企業も55％あり、外資系企業の30％を大きく上回った。なお、「MR評価を大幅に見直した」との回答が先発系内資企業で３％みられた。

◎「リモート面談の回数（頻度）」を重視する先発系内資企業は43％、外資系企業は20％

ＭＲ評価で重視している項目をみると、「売上目標に対する達成度」が全体の48％を占めている。内訳は、先発系内資企業が48％、外資系企業が30％あるのに対し、後発品系企業が64％と最も高い。一方、コロナ禍のMR活動で最も大きな変化を感じた「リモート面談の回数（頻度）」については、先発系内資企業が43％、次いで外資系企業が20％、後発品系企業が27％となっていた。リモート面談に関する評価項目はコロナ以前に無かったもので、まさにコロナ禍におけるMR活動の象徴的な活動シーンをさっそく評価項目に入れていることが分かる。

◎「リアル面談の回数」先発系内資と外資は大幅低下　後発品系企業は依然45％が重視

一方で、かつてのKPIで最も重視されたことのある「リアル面談の回数」は、先発系内資企業で20％、外資系企業で10％まで低下している。ただ、後発品系企業だけは、いまだ45％が重視しており、一部、旧来型のリアル活動をいまも評価設定していることが分かった。

そのほか、SOV（シェア・オブ・ボイス）時代のＭＲ評価の代表格と言われた「製品コール数」は、先発系内資企業で35％、外資系企業で20％、後発品系企業で36％となっていた。

◎「アプローチの工夫や活動プロセス」を重視　エリアごとコロナ影響度を補正して評価も

今回の調査で自由回答に寄せられた「MR評価で重視しているもの」の項目をみると、「コロナ禍でのアプローチの工夫などの活動プロセスを重視」や「対象医師に対するカバー率（リアル、リモート、メール、電話等でコミュニケーションがとれている比率）」、「リモート、リアルのトータルの面談数」などが寄せられた。ほかに「エリアによるコロナの影響度を補正して評価」や「各医療関係者への情報提供プランの実行度」などを重視しているとのコメントも寄せられた。