関節機能改善剤・ジョイクル ブルーレターで注意喚起 ショックやアナフィラキシーで
公開日時 2021/06/02 04:52
小野薬品と生化学工業は6月1日、関節機能改善剤「ジョイクル関節注30mg(一般名:ジクロフェナクエタルヒアルロン酸ナトリウム)」に、重篤なショックやアナフィラキシーが複数発現していることから、「安全性速報(ブルーレター)」を発出し、医療従事者に注意喚起を開始した。投与を受けた患者が帰宅後にアナフィラキシーを起こしたケースもあることから、投与後少なくとも30分間は医師の管理下で患者の状態を観察することや、緊急時に十分な対応のできる準備をしたうえで投与することなどを求めている。あわせて、「警告」を新設するなど、添付文書を改訂した。
同剤は、承認を取得した3月23日から5 月 28 日までの間に、重篤なショック、アナフィラキシーの症例が 10 例報告された。因果関係は不明ながら、死亡例も1例含まれている。なお、推定使用患者数は約5500人。厚生労働省医薬・生活衛生局 医薬安全対策課はこうした状況を踏まえ、製造販売業者である生化学工業(販売元:小野薬品)に対して、ブルーレターの発出とともに、添付文書上は、警告を新設し、重要な基本的注意、重大な副作用が改訂するよう指示した。
◎「顔色が悪い、意識の消失、息苦しさ」は緊急性の高い症状 救急車を呼ぶなど対応を
医療従事者に対しては、緊急時に十分な対応のできる準備をしたうえで投与することを求めた。投与後は少なくとも30 分間は、医師の管理下で患者の状態を十分に観察し、投与直後に限らず、医療機関から帰宅後に発現している症例も報告されている点に留意することを求めた。また、ショックやアナフィラキシーを発現する可能性があること、その徴候や症状について、患者や患者家族に対して十分説明し、異常が認められた場合には、速やかに医療機関を受診するよう指導することを求めた。
一方、患者に対しては、投与後数時間はアナフィラキシーが起こる可能性があると注意喚起した。投与直後から帰宅後にかけて、状態をよく観察し、体調変化に十分注意するよう説明している。特に顔色が悪い、意識の消失、息苦しさなどは緊急性の高い症状であり、救急車を呼ぶなど直ちに対応することを求めた。
なお、同剤は申請時に提出された臨床試験成績を踏まえ、承認当初から、添付文書において重大な副作用としてショック、アナフィラキシーに関する注意喚起がなされているほか、本剤の成分等に対して過敏症の既往歴のある患者は禁忌とされている。